『なぜローカル経済から日本は甦るのか』とdependent economy model

G型大学とL型大学という分類が最近話題である。グローバルやローカルや、エリートを考える上での最近の流行語だ。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2014/10/23/1352719_4.pdf

元BCGコンサルタント、産業再生機構で仕事された冨山和彦氏が文部科学省の「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」に提出した資料です。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/gijiroku/1352719.htm

ある意味、スーパーグローバル・タイプA以外の大学は「この新たな高等教育機関」と考えている政策担当者もいると思います。

本資料のもとには、冨山氏の持論である、日本の中には、貿易財のグローバル経済圏(3割)と非貿易財のローカル経済圏(7割)があり、それぞれに個別に政策的に対応しようという考え方があります。その主張を明らかにした著書は、増田寛也『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 』ほどではありませんが、よく売れているようです。

冨山 和彦『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)

概略はこちらにも紹介されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/souseikaigi/dai1/siryou3-5.pdf

(なお、冨山氏の考えは、国際経済学ではdependent economy modelと対応して考えることができます。p.145の冨山氏の経済学に関する意見に関連して。)

なお私は、卒業生が首都圏ローカル経済圏の担い手であることを考えたとしても、冨山氏の言うL型大学を純粋形で求めてはいけないと思います。しかし、L型+(プラス)ぐらいでいかないといけないのだと思います。大学教育は投資であると共に消費でもあるので、純粋L型だと職業教育にしかならず人気が出ないと思います。

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さて、このようなG型大学とL型大学の分類について、たくさんの批判があるでしょう。たとえば、大学では教養が大事であるとか、職業教育とは異なる専門(ディシプリン)教育が大事であるとか、です。ただし、最も大事なのは受験生とその親御さんたちがどう思うかということでしょう。ローカル経済圏に属することを想定している(多くが比較的真面目に13歳からハローワークされた)受験生にとっては、投資としては教養よりも専門教育よりも、職業教育のほうが欲しいのではないかと思います。そして、消費としては面白い「授業」をやって欲しいのです。親御さんたちは、大学に行った人々の多くは真面目に勉強しなかった(しそこなった)世代です。もしくは、大学に行かなかった人々もいます。すると、教養教育も専門教育もリアルにはあまり想像できないということになります。

そうすると、実際の消費者にとってはL型大学理念型はフィットするのではないでしょうか。投資としてはL型、但し、教育には消費の側面もあるので、合わせてL型+(プラス)が支持されてしまうのではないかと思います。

そうすると批判ではなく、啓蒙が大事だということになります。それって物凄く大変。

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『なぜローカル経済から日本は甦るのか』の面白いところは、ローカル経済圏では需要側の人口減少による落ち込みよりも、供給側の(少子高齢化による)生産人口減少のほうの影響が先に出るという考えてみればありそうなことを指摘したこと。また、dependent economy modelから言うと、貿易財産業(G)と非貿易財産業(L)の間の労働市場の調整が遅い(というより無い)というのが、『なぜローカル経済から日本は甦るのか』の仮定。なぜそうなのかは、増田説で言えば、女子は都会に出たい、都会ローカル経済圏に出たいのだ。

あとは為替レート(円安)のこともこれで考えないといけない。貿易財産業が増えないといけないが、そこにも調整に時間がかかりそう。地元は暮らしやすいのだ。

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関連して斎藤誠氏のメモ

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Megacities

November 4, 2011 8:00 pm
Megacities
By David Pilling

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International Regions Benchmarking Consortium

International Regions Benchmarking Consortiumのサイト。  あってもよさそうなものはやはりある。

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アフリカで企業の力を借りて手を洗う習慣をつける

 NY Timesの記事

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『信用金庫の地域貢献』

32083078  関満博・鈴木眞人編『信用金庫の地域貢献』新評論。まさに、信用金庫がどのように地域活性化、地域貢献をしているかの9つの事例紹介。relation bankingの中でのeconomy of scopeの活用といえるか。

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斉藤修『比較経済発展論』

4000099159 斉藤修『比較経済発展論:歴史的アプローチ』岩波書店、2008年。精読をしたわけではないが、読むのに時間がかかった。それだけ考えさせる本である。歴史と開発問題は学習材料としてしばしば関係している。歴史とはtime seriesで考えた開発のstoryでありtreasureであろうし、現代の開発問題はcross sectionで考えた「今そこにある過去」であるのかもしれないからである。多くの開発研究者が、熱心な歴史読者であり研究者であるのも意味のあることだ。以下、いくつか当面の自分にとって興味深い点をメモする(書評ではないので、もし万一コピペする方は自己責任で要注意)。
 本書のキーワードの一つが『スミス的成長』であるが、筆者によれば、それは「産業の分化と職業の分化が振興することにより、それぞれの産業間に新たに市場が生まれ、市場取引の規模が拡大することによって経済全体の生産性が向上するプロセス」(p.49)という。産業構造も分業という視点から解剖されることになる。分業と経済発展の間には、スキル(熟練)が置かれるが、同時に杉原(Sugihara 2007)の議論に沿って規律も取り上げられる。そして、後にはスキル集約とスキル節約という二分法も設定されるのである。例えば、英国の製造業はスキル集約であり、米国の製造業はスキル節約であるという見解が示されるのである(pp.269-272)。このように、欧米を区分け、そして日本およびアジアを対照させ、その根拠として改善される経済史データを使うという極めて挑戦的な手法がとられている。
 「規律と熟練」という労働の質については、興味深い示唆が行なわれている。日本の製造業での会社内の人材育成システムについて、その源流を両大戦間の時代に遡ることができる(p.287)として、さらにその源流を俯瞰する。すなわち、「ブルーカラーの世界で源流を見出すことはできず、徳川時代のホワイトカラーの雇用制度へとゆきつく。大店の商家奉公人制度である」(p.288)という。すなわち、「三井や住友などの大商家は明治以降に近代企業へと脱皮したので、その奉公人制度も修正と微調整をへてホワイトカラーの雇用制度となり、そして基幹労働力を内部化する必要が生じたとき、ブルーカラーにも適用されることとなった」(p.288)というのである。そして、さらに伝統的制度の衰退と発展のパターンが日本と西欧では反対であったことを記述している。
 いわば確信を持って試論されるのは、職人のスキル形成の場が家族であったことである。農家では、多様な作業を前提とした日程調整の必要が生じ、農耕と副業とのあいだでの人でのやりくりの重要性と相まって、「工場の時間」が導入される以前に、農家に時間規律とそのやりくりのスキルを教えたと、トマス・スミスを援用しながら論じている。この議論の行き着く先は、「近代日本の工業化を支えた労働集約的な中小企業をたんに低賃金の職場としなかったのは、「農家から工場の世界を経由して町工場へというサイクル」であったのかもしれない」(p.290-1)という。
 以上のような視点は、開発政策において、農村工業による工業化を考える立場にも示唆を生むであろう。すなわち、もし農村において単純な労働(すなわち、時間規律と人のやりくりを必要としない労働)が優越しているとすれば、農村工業を導入することにより、時間規律とやりくりのlearning by doingを提供することになるかもしれない。しかし、事前に時間規律とやりくりが無かったのであれば、導入された農村工業もただの低賃金労働で終わるかもしれない。Hayami et. alのフィリピン研究やFASIDのアフリカ開発はこの点から再評価できるかもしれない。
 現在の公教育のあり方にも視点を与えるであろう。前日にメモ書きしたように、(テスト文自体に問題があるとしても)東京都(すなわち都会の)中学生の「見通す力」が非常に低いことが示されている。たとえば、カレンダーで日程を逆算的に管理する(小5テスト)こと、そして、表を作って他人の行動を予測すること(中2テスト)などは、人のやりくりを考える能力と大いに関係していると思われる。その意味で暗澹たる結果である。この点は、テストではなく実践においては、文書管理とも大いに関係している。そのカレンダーをどこに貼るのか、表をどこにしまっていつ必要なときに取り出すのかというポイントである。
 この他、分業という視点からは、経済面での社会の分岐という問題もとらえることになり、それは一人当たりGDPの成長と平均賃金の低迷の裏側に潜む、所得分配の拡大(格差問題)を実証的に見極める研究にもなる。

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BanerjeeのMaking Aid Work

41hocz3vqvl_sl500_aa240_  BanerjeeのMaking Aid Work、簡単でrandomized experimentを知るのにいい本です。2時間ぐらいで読めます。最初にBanerjeeによる簡単な紹介があって、その後、Angus DeatonとかRobert Batesとかのコメントがたくさんあって、そのあとBanerjeeがrejoinderして、さらにEasterlyを俎上に上げて教育をネタにrandomized experimentの有効性を語る構成になってます。最後は、developmentの現場で、経済学を使って厳密に考えようという風にまとめてます。単に現場に行けばいいんじゃないというところが味噌です。サンプルが一個しかないものは実験できないんですが、scaling-up問題はかなりこれで整理できるような気がします。

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WSJ: Fewer Latin Migrants Send Money Home, Poll Says

Fewer Latin Migrants Send Money Home, Poll Says
Slowing Economy, Legal Crackdown Said to Cut Flows
By MIRIAM JORDAN (WSJ) WSJ080501remittances.pdf
May 1, 2008
  We knew it would happen, and it is happening.  So, I wonder how the authorities have prepared.

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NPR: World Traveler Learns Climate Complexities

 NPR: World Story of the Day, April 27, 2008.  "World Traveler Learns Climate Complexities"  米国の大学で学んだ環境NGO関係のコスタ・リカ人大学卒業生が、一年間の海外放浪奨学金をもらって、世界旅行を開始。ベトナムでダム水没の危機にさらされている村でショックを受け、その後の国際会議で「事件は現場で起きている」風のフラストレーションを感じたという話。引き続き旅行中とのこと。Podcastは英語のヒアリング練習に最適。ラテン人若者の英語も聞ける。

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Grains Gone Wild

Grains Gone Wild
By PAUL KRUGMAN (NYT)
Published: April 7, 2008

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