横田 増生『評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」』

横田 増生『評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」』

 アマゾン、そして、ユニクロと経済ものノン・フィクション秀作を書いてきた著者が挑んだナンシー関の評伝。米国に比べて、評伝文化(『私の履歴書』文化が強いと言ってもよい)が弱い日本において、私の知る限りでは魚住 昭が書いた『渡邊恒雄 メディアと権力』、『野中広務 差別と権力』に優るとも劣らない秀作。

 評伝とは、クリティカルであることが要求され、そして、読者が知らない事実が明かされ、さらに、読者が知る事実に対しての新解釈が要求される。この三つを、本書は満たしている。そして、ある時代像を切り結ぶことができれば秀作となる。ある種の、ジャパニーズ・ドリーム(東北出身の女性が東京で「スター」になる)の過程を、きちんと書き込んでいる。

 無いものねだりを言えば、索引が欲しかった。索引作成に値する本だと思うからだ。是非とも文庫版では索引を要望する。

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『空飛ぶ中国』

読了。今が旬。

1968年について言えば、東京オリンピックの4年後、美濃部都知事の2年目であることが大事だと思うし、その枠組みは、公害問題・都市問題を契機とした地方自治の問題だと思う。そして、革新地方自治とポピュリスト保守政治(KT1972)がセットで共存の70年代が出現。経済成長すれば、負の外部性、特に公害が発生する。さすれば、公共面は大事になる。しかし、それは地方自治において強く振動し、一億人の国でさえ国民政治は「革新」に至らず、逆に保守ポピュリストと共鳴しうる。

革新地方自治とポピュリスト保守政治はセットで出現する。つまり、革新地方自治とポピュリスト保守政治はセットで抑えられる。

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佐々木 俊尚 (著) 「当事者」の時代 (光文社新書)

佐々木 俊尚 (著) 『「当事者」の時代』(光文社新書)。

書き方は「サスペンス調」。日本(のマスメディア)は、ホンネ(ハイコンテクスト)とタテマエ(マイノリティ憑依に支えられた市民視点)という構造があるが、時代が変わり、メディアが変わったので「当事者」視点が重要との論旨。

しかし終章に書かれた当事者記事は職業ジャーナリストには簡単には続けられない。そこで、牧野『官報複合体』の第11章に詳述されたフィーチャー記事が、当事者視点の記事形式の可能性を示唆していると思われる。

使われている材料のほとんどは15年前までのものがほとんどなので、この著者によるものではないにしても、なぜこの本が15年前に書かれなかったのか、という点が個人的には興味深い。この世代が呪縛から覚めましたという本なのだろうか。

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応仁・文明の乱 (戦争の日本史 9) 石田 晴男

えらく細かくて年表作りながら読むと面白い。

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『つながる脳』『ソーシャルブレインズ入門』

藤井直敬『つながる脳』(NTT出版)、『ソーシャルブレインズ入門』(講談社現代新書)。

<社会脳>の研究。基礎知識。

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The books I might buy

平等と効率の福祉革命――新しい女性の役割
作者: イエスタ・エスピン=アンデルセン,大沢真理

「最後の社会主義国」日本の苦闘 レナード・ショッパ著

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『未解決事件』

面白い本だった。第53章のへリックスは凄い。正しい本。

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スラヴォイ・ジジェク『給料ブルジョアの反乱』LRB

The Revolt of the Salaried Bourgeoisie
Slavoj Žižek

こういうものは15年ぶりに読んだような気がする。リナックスが普通で、マイクロソフトが例外だというのは面白い。企業間の競争の理解がちょっと弱いような気がする。日本でデモが弱いのは、すでに非正規就業が広がっているが、まだ高等教育生の八割程度が正規就業できるからなのだと言うのかもしれない。ジジェク→ライシュ→デロングもしくはクルーグマンという理解かな。

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李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)

Informative.  This book, I believe, makes you think.  For example, the current Chinese concerns about Korean peninsula.

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チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』

 チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』。解説より『ベジェルとウル・コーマのあいだに物理的な壁は存在しない。にもかかわらず、ふたつの街のあいだには厳然とした区別があり、両国の国民はたがいに相手の国が存在しないものとしてふるまわなければならない』という歴史(設定もしくは仮定)を背負った両都市が「ブリーチ」というNGO (?)の力を借りて、どのように生き延びていくのかという都市小説。世界が滅亡したりせず、それなりに大きな事故がシステムの中できちんと小さな問題として解決されていく様が描かれている。

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