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『社会変革のためのシステム思考実践ガイド――共に解決策を見出し、コレクティブ・インパクトを創造する』を頂戴して

昨晩、ご恵贈いただいた本に感謝しつつ目を通していると図4-1相互作用マップ(p.93)が目に飛び込んできた。いわゆる恐怖の悪循環である。

【図4-1相互作用マップ】
「Aが考える」例:マネジャー「部下は気にしない」→「Aが行動する」例:マネジャー<意思決定し、部下に命令する>→「Bが考える」例:部下「ただ指示を待つさ、どうせマネジャーはわれわれの意見なんて聞いてはくれないのだから」→「Bが行動する」例:部下<参加の度合いが減る>→「Aが考える」例:マネジャー「部下は気にしない」…

まさに悪循環である。自戒、自戒と帰宅して、新聞夕刊を開くと誰もが一目置く岩出監督(帝京大学ラグビー部)のインタビューが掲載されていた。

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――最初の10年は勝てなかったそうですね。
 「その頃はトップダウンで厳しく指導していました。練習方法から生活のあり方まで、だらしない部分を正そうとしていたので、学生としては居心地が悪かったのだと思います。彼らなりにやってきたことと、私が必要と思うレベルとのギャップもあり、チームの一体感が持てず、一部の人間だけが頑張る組織になっていた」
 ――変えようとしたきっかけは。
 「10年間勝てなかったことも理由ですし、下級生が不満を持っている様子も感じていました。ある試合で『負ければいいのに』とつぶやいた学生もいた。トップダウンの体育会組織の体質が、そういうさみしい発言をさせてしまったのだと思います。監督が無理やり選手を成長させようとすると、結局は指示待ちになる。一人ひとりが自ら経験から学習して成長できるようにすれば、自律的に成長する組織になるんじゃないかと気づきました」
(帝京大学ラグビー部岩出雅之監督(上)トップダウンが敗因になる(私のリーダー論)2018/11/15 日本経済新聞 夕刊 2ページ)
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これが前述した恐怖の悪循環の実例である。あの岩出監督をして、最初の10年は勝てず、やり方を変えて今があるのだという。知らない人のために、「あの」岩出監督と言わせる実績は大学ラグビー8連覇ばかりでなく、現在World Rugby Ranking Top 11に入るJapanのメンバーの中で帝京大学出身者が顕著であることからも窺える。たとえば、今度の土曜のイングランド戦の試合登録メンバー23名の出身校(大学であったり高校であったり)を見ると、帝京大学が6名、それ以外は各学校が1名づつなのだ。また、この23名を若いほうから約半分の11名とると、その内の5名が帝京大学ラグビー部出身者だ。27歳の中村亮土は2連覇~5連覇までのメンバーであり5連覇の主将、流(26歳、6連覇の主将)、坂手(25歳、7連覇の主将)、松田(25歳、7連覇)、姫野(24歳、7連覇)と続く。もちろん彼らは高校時代から有名な選手であるのだが、花園で有名になった選手は数多くいる。その中で大学で伸び、社会人で伸びる「伸びしろ」感がたまらない。

というようなことも考えさせるきっかけになる本である。20代には図に注意しながら速読をお勧め、30代以上で大学で学問(つまり、学んで質問作って問いかけることを)しなかった人には熟読をお勧め。

以下は蛇足メモ。
  1. 帝京は2018年度は過年度に比べてやや弱いような気がする。他のチームがやや強いのか、どうなのか。
  2. 日本代表への選考に大学選手権八連覇が影響している可能性がある。強い選手がいるから勝ったのではなく、勝ったから強い選手とみなされているという可能性だ。しかし、大学日本一と社会人日本一の圧倒的な実力差を考えると、大学で日本一になっただけでは社会人で活躍できないし、日本代表に入れる保証はない。やはり、勝つ組織としての個人に埋め込まれる自学自習性が大学卒業後も彼らを伸ばす点が大きいのだと思う。
  3. 本書は研究者が書くような参考文献でのペダンティックさが低い。たとえばマクロ経済学は「どマクロ」でもsystems thinkingだと思うが、そういう参照がほぼ無いところが興味深い。feedback loopといえば経済学の特徴だと思っていたが、そういう共通認識が低いような気がする。
  4. こういうstory lineはこういう図で書けるという対応関係が本書の魅力だと思う。
  5. 日本国内では、こういう本の助けを借りずに同様なソリューションを目指す話し合いが多く行われているはずだ。そういう話し合いが本書が追加されることで改善するのかに興味がある。

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18代目勘三郎が起こしたのは「革命」ではなく「復興」だった。

18代目勘三郎が起こした「革命」は一代限りで終わるのか」に一言二言。

数々のエピソードは、18代目勘三郎が起こしたのは「革命」ではなく歌舞伎の「復興」であったことを指し示す。
  1. 串田氏との歌舞伎では古い脚本をやろうとした。
  2. 従来から歌舞伎作品では古い写真や芸談を参考にした。
  3. 歌舞伎では三味線が導入されたことを念頭に、江戸時代にエレキギターがあれば歌舞伎でも導入したであろうと妄想した。
  4. 彼が建てたのは「平成中村座」であり、中村座の座元としての中村勘三郎をこれほどまでに意識した名前はない。定式幕にも明らかである。そして、その本気度に盟友である坂東三津五郎は「平成中村座」に守田座の座元として出演することはなかった。
  5. 法界坊では17代目のやり方の否定、盛綱陣屋でも17代目のやり方に異を唱えようとしたがビデオを見てみると納得していた。
等々。オクタビオ・パスが『曇天』で言うように、revolutionは「戻る」意味が原義であったが、現代ではそうではなく過去との切断に重きがおかれている。復興とはreconstructionもしくはrejuvenationで捉えよう。印象が強いとすれば、革命的な復興であったのだ。しかし、どちらかと言えば保守本流であったと言える。そこは、猿之助に対する当初の感情と、白鴎=幸四郎「ラマンチャの男と」への好感にも通ずる。どちらかと言えば、3代目猿之助が革命であり、18代目勘三郎は復興であったのだ。これは、3代目猿之助が「京鹿子娘道成寺」を苦手とし、18代目勘三郎が好んでいたことにも関係するだろう。
復興された歌舞伎において、勘九郎・七之助が「継承」しようとし、「父だったらどうしようとするのか」と考えるのは当然である。3代目猿之助の袂をわかった亀治郎が4代目猿之助として復活するのもよくわかる。ワンピースを再演させた4代目猿之助に革命性が無いとは誰も言わないだろう。
なお、歌舞伎座 1994年 1月の演目は次の通り。昼の部は春霞猿若舞(ハルガスミサルワカマイ)、平家女護島(ヘイケニョゴノシマ)、新版歌祭文(シンパンウタザイモン)、お祭り(オマツリ)。夜の部は一条大蔵譚〔鬼一法眼三略巻〕(イチジョウオオクラモノガタリ〔キイチホウゲンサンリャクノマキ〕)、弥栄芝居賑(イヤサカエシバイノニギワイ)、人情噺小判一両(ニンジョウバナシコバンイチリョウ)、春興鏡獅子(シュンキョウカガミジシ)。春霞猿若舞と春興鏡獅子は勘九郎(18代目勘三郎)である。筋書をきちんと読まないといけないが、弥栄芝居賑のみが追善興行というのはどうだろうか。平家女護島、お祭り、そして一条大蔵譚なのだ。当時、18代目は38歳。
おそらく2018年10月歌舞伎座は、平成中村座だけで追善をやろうと思っていた勘九郎・七之助に松竹が追善を申し出たということであろう(インタビューで確認)。玉三郎、仁左衛門、白鴎が演目を提供するのは極めて自然であろう。現在、勘九郎は36歳。
比べなければいけないのは、歌舞伎座 2000年 4月の十七代目中村勘三郎十三回忌追善四月大歌舞伎。つまり六年後。演目は、昼の部は平家女護島(ヘイケニョゴノシマ)、舞鶴雪月花(ブカクセツゲッカ)、梅雨小袖昔八丈(ツユコソデムカシハチジョウ)。夜の部は一條大蔵譚〔鬼一法眼三略巻〕(イチジョウオオクラモノガタリ〔キイチホウゲンサンリャクノマキ〕)、口上(コウジョウ)、鰯賣戀曳網(イワシウリコイノヒキアミ)、鏡獅子(カガミジシ)なのだ。
1981年生まれの勘九郎(当時、勘太郎)は19歳で鏡獅子を踊っている。さすがに今の勘太郎は13歳。まだ鏡獅子は無理だろう。でも、連獅子はいけるだろう。

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冨田ラボ 15周年 @赤坂BLITZ

[冨田ラボ 15周年 赤坂BLITZ セットリスト]
Let It Ride KentoNAGATSUKA
アルペジオ chelmico
雪の街 安部勇磨
OCEAN Naz
緩やかな毒 吉田沙良
眠りの森 AKIO
鼓動 城戸あき子
RainOnYou 七尾旅人
荒川小景 坂本真綾
パスワード 長岡亮介
M-P-C Ryohu
ふたりは空気の底に 髙城晶平
[アンコール]
Etoile 堀込泰行
道 bird
[客入れ曲]
Time - Deniece Williams
Anthony Joseph - Joy
Bitamina - Tata ma telefon
GoldLink - How It's Done
Vince Staples - Crabs In A Bucket
他。
[感想]
吉田沙良、坂本真綾が良かった。更に、birdは上を行く圧倒的完璧さ。

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