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エヤル・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める』

エヤル・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める』(早川書房、2017年)。
原題はEyal Winter, Feeling Smart; Why our emotions are more rational than you think (2014)です。「感情の支配するシステム1は間違いやすいので、思考が支配するシステム2で制御しなければならない」という広まった考え方に対して、ヴィンターは感情と合理性には補完性があると実証で示しているのがポイント。
直観的に考えてみると、ここ200年ぐらいの歴史的変化で起こった事象については、システム1とシステム2の進化論的な補完関係は追いついていないような気がする。ミーム的なものを想定すれば補完関係はあるかもしれない。しかし、数千年について人類につきまとう基礎的な事象については進化論的に補完関係があって当然なので、そこを論証してくれる本書はとても教育的であり、優れている。
本書は脳をfMRIで見たりホルモンに注目する神経経済学にも目配りしており、さらにゲーム理論に基礎づけされているので安定感がある。いわゆる行動経済学ものではヒット作品だと思う。
本書は、いろんな本の繋ぎになると思う。ホルモン「オキシトシン」についてはポール・ザック『経済は「競争」では繁栄しない』、人類学での長期的な進化論についてはJoseph Henrich, The Secret of Our Success、そして行動経済学としてはカーネマン『ファスト・アンド・スロー』やThaler, Misbehaving、さらには心理学についてはP. Bloom, Against Empathyと繋げてcritical readingもできると思われる。

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