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Book Launch | Under-Rewarded Efforts: The Elusive Quest for Prosperity in Mexico

Book Launch | Under-Rewarded Efforts: The Elusive Quest for Prosperity in Mexico

https://www.wilsoncenter.org/event/book-launch-under-rewarded-efforts-the-elusive-quest-for-prosperity-mexico
Santiago Levy
William Maloneyが討論者。Misallocation storyを認めながらも、これがマクロ低生産性の主要因かそうでないか(90%か10%か)わからないと指摘。グアダラハラのIBMやHPがなぜ革新的な商品を生み出せないか(他方、韓国サムソンはスマフォを生み出した)を指摘した。私は当時のIBMなどをインタビューしているのだから、そこがわかるはずだ。
1)当時のIBMやHPはすでにシリコンバレーのサプライチェーンに組み込まれた形で成立していた。多少は研究センターはあるものの、基本は生産拠点だった。そして、メキシコ人のエンジニア達はそれで「満足」していた。おそらく、有望なエンジニア達はシリコンバレーに向かっただろう。スピンオフは非常に小さかった。
2)当時の技術振興政策は非常に弱かった。多少はあったものの、基本は自由貿易だった。

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マッキンゼー(Mckinsey)のGenerationプロジェクト

マッキンゼー(Mckinsey)のGenerationプロジェクト

https://www.generation.org/
労働者を訓練して、企業と繋げるプログラム。
メキシコのエリックくん
https://www.generation.org/story/erick-mexico/
体験(コピペ):
In December 2014, Erick Ventura completed a Bachelor’s degree in administration from the Universidad Nacional Autónoma de México. Although Erick acquired some work as part of his degree requirements, he was unable to secure employment after graduation.
Before joining the Generation initiative, Erick submitted 16 job applications and received rejections from all potential employers. Erick lived with his parents and his younger brother but was unable to contribute financially to his personal and family needs. Because Erick’s father is unemployed, financial contributions were particularly helpful for his family.
That’s when Erick decided to enroll in the Generation program in Mexico. During his participation, Erick acquired important job-relevant skills that compensated for his lack of work experience, and he also underwent significant social and personal changes. As Erick reflects, “I learned to relate to others since it was difficult for me. It is still difficult but in Generation, I gained the tools to overcome that weakness and I got to know my strengths.”
Since graduating as part of Generation’s second cohort in Mexico in October 2015, Erick has been employed as a cashier at Walmart Azcapotzalco—one of the busiest Walmart stores in Mexico City. His Generation training helps him adapt to the many daily challenges of a fast-paced retail setting. Erick credits his adaptability and quick thinking to role plays and simulations practiced in the Generation classroom.
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2014年12月、Erick VenturaはUniversidad NacionalAutónomadeMéxicoから学士号を取得しました。エリックは学位要件の一部として仕事を取得しましたが、卒業後は雇用を確保できませんでした。
Generationイニシアチブに参加する前に、Erickは16の求人申請書を提出し、すべての潜在的雇用者から拒絶を受けました。エリックは両親と彼の弟と一緒に住んでいましたが、彼の個人的および家族的ニーズに財政的に貢献することはできませんでした。エリックの父親は失業しているため、財政的貢献は彼の家族にとって特に有益でした。
エリックがメキシコのジェネレーションプログラムに参加することを決めたのはそのときです。彼の参加中に、エリックは職務経験の不足を補う重要な仕事関連スキルを取得し、社会的、個人的にも大きな変化を遂げました。エリック氏は、「私にとっては難しかったので、他の人との関係を学んだ。まだ難しいですが、世代では、その弱点を克服するためのツールを手に入れました。私は自分の強みを知る必要があります。
エリックは2015年10月に第2世代メキシココホートの一員として卒業して以来、メキシコシティで最も忙しいWalmartの店舗の1つであるWalmart Azcapotzalcoのレジ係として雇用されています。彼の世代の訓練は、ペースの速い小売業の多くの日々の課題に適応するのに役立ちます。エリックは、彼の適応性と素早い考え方を、ジェネレーションの教室で実践されたロールプレイとシミュレーションに当てはめています。
ということで、
あえて憶測するにこんな感じです。最近の話題の書であるSantiago Levy著Under-Rewarded Effortsは、税制・労働法制・社会保障法制が小企業(従業員5人以下)が小企業であり続けたいような制度になっているためにメキシコでは小企業が大多数で、それが生産性が低い原因になっていると議論しています。つまり、小企業で働く「インフォーマル」労働者にとっては小企業は自ら選択するexitの道であるということになります。それが故に、政策としては政府が税制・労働法制・社会保障法制を変えれば、これらの労働者は中企業・大企業にentryしてきて(もしくは中企業・大企業がもっと生まれて)生産性も上がってめでたしめでたしとなると想像できます。おそらく、今回の発表者は、なんらかの要因によって、これらの労働者はexclude(たとえば差別)されているので、法制度を変えたくらいではentryしてこないと議論し、そこをミクロ計量経済学で実証しようとするのではないでしょうか。発表の白眉は、そのartにあります。
Santiago Levy著Under-Rewarded Effortsのサイト:
https://flagships.iadb.org/en/Under-Rewarded-Efforts
これは、貧困研究ではそれなりに大事なテーマで、貧困家計の働き手が自ら貧困状態を選んでいる(exit)のか、それとも何らかの要因で貧困に陥らされているのか(exclude)という質問になります。どの国の貧困研究でもそれなりにイシューになるのではないかと思います。
私個人はとても折衷的で、メキシコの場合、「インフォーマル」労働者の能力の低さが1/3、明確な法制の影響が1/3、不明確な制度(文化を含む)が1/3ぐらいだと思ってます。理由ですが、マッキンゼーが外資と組んで、職がない若者を再訓練して外資に送り込むというプログラムをやってます(すぐにURLが出てこないんで、うろ覚えで恐縮です)。そこで成功事例として取り上げられいたのが、UNAM(メキシコ国立自治大学、世界最大?のメキシコシティの大学で、教育程度の低さで有名)の経営学学士を出て職がない(つまり、このままだとインフォーマルになるしかない)メスチーソ男子が、このプログラムに参加して、ウォールマートのレジ係に採用されたという話でした。これが「成功例」なんですよ。ごめんね、やっぱり能力が低いんだと思ってます。

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エヤル・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める』

エヤル・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める』(早川書房、2017年)。
原題はEyal Winter, Feeling Smart; Why our emotions are more rational than you think (2014)です。「感情の支配するシステム1は間違いやすいので、思考が支配するシステム2で制御しなければならない」という広まった考え方に対して、ヴィンターは感情と合理性には補完性があると実証で示しているのがポイント。
直観的に考えてみると、ここ200年ぐらいの歴史的変化で起こった事象については、システム1とシステム2の進化論的な補完関係は追いついていないような気がする。ミーム的なものを想定すれば補完関係はあるかもしれない。しかし、数千年について人類につきまとう基礎的な事象については進化論的に補完関係があって当然なので、そこを論証してくれる本書はとても教育的であり、優れている。
本書は脳をfMRIで見たりホルモンに注目する神経経済学にも目配りしており、さらにゲーム理論に基礎づけされているので安定感がある。いわゆる行動経済学ものではヒット作品だと思う。
本書は、いろんな本の繋ぎになると思う。ホルモン「オキシトシン」についてはポール・ザック『経済は「競争」では繁栄しない』、人類学での長期的な進化論についてはJoseph Henrich, The Secret of Our Success、そして行動経済学としてはカーネマン『ファスト・アンド・スロー』やThaler, Misbehaving、さらには心理学についてはP. Bloom, Against Empathyと繋げてcritical readingもできると思われる。

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高槻泰郎『大坂堂島米市場』

高槻泰郎『大坂堂島米市場』(講談社現代新書、2018年)。
大坂堂島米市場についての概説書。歴史学からの経済史というより、経済学からの経済史という一般書では、横山 和輝『マーケット進化論---経済が解き明かす日本の歴史』(日本評論社、2017年)、岡崎哲二『江戸の市場経済 歴史制度分析からみた株仲間』 (講談社選書メチエ、2015年)と共に基本文献となる。
p.31:手形での決済を好むのは上方商人の特質。桜井 英治が言うような応仁の乱の頃には京都には手形があったというような指摘と関係はないのだろうか。
p.79:西国米と北国米で入札時期がずれていた原因。
p.82:神宗の屏風。
p.154:価格データはあるが取引量(額)のデータはないのか?
p.240:米手形と貨幣・金融政策との関係。買米で金融を抑えると資金量は落ちるので絶対価格は低下する、それにより米価も落ちる可能性はあるだろう。
p.276:飛脚網による交通網。米飛脚が北国と西国に限定されていた理由。米が北国と西国から来ていたこととも無関係ではないだろう。

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E. Posner and G. Weyl (2018) Radical Markets

E. Posner and G. Weyl (2018) Radical Markets: Uprooting capitalism and democracy for a just society, Princeton.
2018年のトップ10に入る収穫と呼ばれる本書。やっと速読できました。ずっと積ん読だったり、持ち歩きだったりしたのですが、夏休みの宿題を仕上げるように馬力をかけて読みました。本書のきっかけはWeylのリオデジャネイロ訪問にあると前書きが始まっています。
資産、投票、移民査証、株保有ルール、電子データの取り扱い、についてradical(「急進的な,過激な,革命的な」というより「根元的な,根底の;基礎的な,根本的な」)な提案をおこなっています。
1) 資産税: COST (common ownership self-assessed tax)、p.61、
2) 投票: QV (quadratic voting)、p.105、
3) 移民査証: VIP (visas between individuals program)、p.150、
4) 株式保有ルール: 寡占業種では一企業のみ、コーポレートガバナンスに参加するのであれば1%以上の保有は禁止、p.192、
5) 電子データの取り扱い: 対抗力のある組織化、p.239あたり。
各市場での市場支配力(market power)に着目して、上記のような制度上の提案をおこなっており、実施に当たってはsmall scaleでの実験から始めるとよいとしている。
Dani RodrikがEconomics Rulesで述べているように、経済学者が提言する政策指針と経済学者が研究して生み出す経済学の知恵は異なることがある。となれば、逆に経済学の知恵をしっかり使うと根元的な政策提言になることも予想される。本書はその例であると言えると思います。経済学の「型」に染まっている時にはフレッシュな読書です。

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Radical Markets読書

Chapter 3。Migrationが問題になるのはFigure 3.1(p.134)のように、19世紀前半の昔は先進国に移動しても労働者のままであれば賃金上昇は少なかったが、19世紀後半以降は各国の賃金格差が広がり、移民による賃金上昇があるということに起因すると示唆。Eye-opening。

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Jagdish Bhagwati, Time for a Rethink

小浜・浅沼『ODAの終焉』p.167
Time for a Rethink
FINANCE & DEVELOPMENT, September 2010, Vol. 47, No. 3
Jagdish Bhagwati
https://www.imf.org/external/pubs/ft/fandd/2010/09/bhagwati.htm

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Exceptional Argentina

小浜・浅沼『ODAの終焉』

p.46

Exceptional Argentina

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成毛眞『Amazon 世界最先端の戦略がわかる』

『ビジネスマンへの歌舞伎案内』で名高い著者による、非常に読みやすく、かつ、わかりやすい本。

以下は粗探しと無いものねだり。
一方で、楽天との比較で財を自ら買って売るのが本業と書いていながら(p.89)、他方で、マーケットプレイスによるプラットフォーム事業によるマイナスのCCCが重要と述べる(p.133)。
利益が出さずに投資をしていると強調しているが、利益を出さなければ純資産は増えないので、資産を増やすという意味で投資をするためにはお金を借りなければならない。この有利子負債を通じた資金調達をどうしているかについては触れていない。
マイナスのCCCが発生するためには、在庫や売り上げ債権に比べて、仕入債務が大きいことが必要なり、それは10-Kでも確認できる。多額の仕入債務が発生するメカニズムについては詳述されている。つまり、マーケットプレイスによる仕入債務が投資を可能にしているという事実はある。しかし同時に、Long-term debtもそれなりの大きさで存在している。
想像すると、ドットコム・バブルまでは有利子負債を借りて投資。その後は、マーケットプレイスで仕入債務に支えられた投資と並行。そして、AWSで利益を出して、これが純資産を増加させ、これによって投資、というところか。つまり三段階の資金調達。One thing leads to another的な成長かもしれない。これは成毛さんが言っている重要な点。

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井上・本郷『日本史のミカタ』

明治維新と三井(p.215)

宮本又郎(みやもと・またお)『企業家達の挑戦』
『大阪商業史資料 第9巻』

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稲葉振一郎『政治の理論』

稲葉振一郎『政治の理論』
公的領域・私的領域を理解するための四つの象限(p.129)は啓発的。ざっくり言えば「公的/私的」という対立軸を「大域的/局所的」という現代・近代の解釈ではなく、「自由/不自由」という古典古代の解釈に引き寄せ、庶民に有形無形の財産(教育を含む)を与え、公的に自由なコミュニケーションをとってもらう「リベラルな共和主義」を構想した。
一方でcorporate governanceを有産市民による双方向のコミュニケーションとして捉えることになり、他方で行政と政策を、政治という公的領域から峻別する効果を持つ。

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日本経済史における所有権

横山百合子『江戸東京の明治維新』
『身分の新しいとらえ方とは、同じ職分の人びとの集団が、何らかの公的役割を担うことによって社会的に認められ、身分が成立するという見方である。』(p.50)
『こうした家守の変化にみられるように、江戸時代には、ある職分に携わる権利が株化し、実際にその職分に携わる人と、株をもつことで収益を得る人が分離するという現象がしばしばみられた。』(p.77)
この所有権の発想の基盤は?
岡崎哲二『江戸の市場経済』
ここではノースの言う制度、所有権の発達を成長の基盤としている。稲葉『新自由主義の妖怪』でも「法の支配」を成長の基盤としている。出所はやはりノース。
中世の「座」と近世の「株仲間」の違いは歴史的なもので、中間に「楽市楽座」があるからという形で書いてあるが、座は売買できるのか?株は売買できる。所有権からすると売買できるかが大きな違い。
さて、Radical Marketのような市場に対する所有権への部分的批判(独占に基づく)はどうなのだろうか?ここは神門 善久の日本農業as不動産業への批判とも通底しないだろうか?

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稲葉振一郎『新自由主義の妖怪』(亜紀書房、2018)

稲葉振一郎『新自由主義の妖怪』(亜紀書房、2018)
20世紀の重要思想であったマルクス主義とケインズ主義について、保守本流自由主義思想や産業社会論をもちいて位置付けながら、返す刀で「新自由主義」を打つという著作。産業社会論の墓碑銘となっている。
構造としては、マルクス主義(社会主義)と保守本流自由主義思想(資本主義)を対峙させ、保守本流自由主義思想(資本主義)の総合的社会科学として産業社会論(村上泰亮を含む)を位置付ける。しかし、マルクス主義も産業社会論も、二つの20世紀後半から末の実証的事実によって反駁される。一つ目は、マネーの管理であり、これを述べていたのがケインズ主義であった。二つ目は、技術革新における市場と競争の大きな役割であり(ヘルプマン=グロスマン)、公的部門が大きな役割を果たすと想定していた産業社会論はここで破綻する、という。
マルクス主義は批判理論として生き残り、産業社会論は絶滅した。保守本流自由主義思想には総合的社会科学がなくなった。その間隙に入り込んでいるのがいわゆる「新自由主義」ということ。但し、「新自由主義」には総合的社会科学のビジョンは無い。なぜならば、市場に任せればうまく行くので考える必要はない。
稲葉は、共和主義の復興、リベラルな共和主義を提唱する。AIのもとBasic Incomeで国民を有産にして、voiceを促進しようという。そのvoicesがtweetsでない保証はどこにあるのだろうか。
教育システムについては、欧米では、小学校中学校という産業社会を動かすための教育パーツと、元々あった大学を高校(予備門など)で結びつけるという形で教育システムはできあがった。新しいgeneral purpose technologyの程度に応じて教育システムも変革の必要性があるだろう。
アセモグルの経済成長モデルを、ロバート・アレン(+ダニ・ロドリック)の経済振興の歴史にもう一度寝かして、そこから総合的社会科学をもう一度構想する可能性。
新自由主義については下記の引用で十分だろう。
『「新自由主義」のイメージのでっち上げの主犯は、当の「新自由主義」的潮流に属する人々以上に、そこに資本主義の新段階を見出したい、更に批判すべきわかりやすい対象を見出したい、マルクス主義者たちなのではないだろうか?』(p.158)
ということで、<新自由主義>に拘泥する意味はほとんどない。保守本流自由主義の総合的社会科学の構想には意味があろう。
ここを『異端の時代』で示された正統と異端の図式にあてはめることができるか?もしそうだとすれば、マルクス主義の異端の「遅れ」こそが問題になろう。
あとは「疎外」の再発見(p.309、312-)。『近代以降の巨大で複雑な、専門化と分業を発展させた社会は、システムとしてうまく機能しているにもかかわらず、というよりもそれゆえに、人がそれを「社会」として、つまりは自分たちが共同で作り上げる関係性として感じることを難しくしているのです。』(p.309)
新自由主義批判がマルクス主義の「ためにする批判」であれば、ポピュリズム批判もXXXXによる「ためにする批判」である可能性はないか?XXXXとは保守本流自由主義?それよりもう少し実態のあるもの?

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