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所得再分配と成長

IMFコラム。ペーパーも。要約は下記。

The conclusion that emerges from the historical macroeconomic data used in this paper is that, on average across countries and over time, the things that governments have typically done to redistribute do not seem to have led to bad growth outcomes. And quite apart from ethical, political, or broader social considerations, the resulting equality seems to have helped support faster and more durable growth.

To put it simply, we find little evidence of a “big tradeoff” between redistribution and growth. Inaction in the face of high inequality thus seems unlikely to be warranted in many cases.

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中南米レビュー

ECLAC, Updated Economic Overview of Latin America and the Caribbean 2013.

そのまとめ「ECLAC2014overview.docx」をダウンロード

JOBMEC, ペルーの鉱業の現状

マーティン・ウルフのアルゼンチン債務についてのコラム

ペルーの果実輸出(アボカド)についてのレポート

ラテンアメリカレポートVol.31 No.1(2014年6月)特集:開かれた経済関係の構築—太平洋同盟諸国の展望— 。

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WDR 2013 Jobs

大塚啓二郎氏も編集に参加されているWDR 2013 Jobs。

p. 117 (Chap.3) Box 3.4 バングラデシュでの衣料品産業の勃興を解説するコラム。

p. 171 (Chap.5) Fig. 5.10 バングラデシュで、衣料品工場が近くにできると女子の就学率が改善するという素晴らしいグラフ。

p.212 (Chap.6) Box 6.7 メキシコでどうやってインフォーマリティを削減するかについての議論が活発におこなわれているというコラム。

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マクロとミクロの議論:マクロ経済学の政策論を援用できないのか?

経済以外の国際○○交流のセミナーや、日本B国△△交流のセミナーなどに関して、ときどき思うことなのだけど、国際マクロ経済学の政策論を援用できないものだろうか。特に、ミルトン・フリードマン流の卓見は使えないのだろうか。

ご存じのように、ミルトン・フリードマンは卓抜な比喩を使いながら、国際マクロ経済の政策論をおこなった。例えば、変動為替レート制の良さをサマータイムを利用して議論した。日中の太陽を利用しようと思えば、実質で1時間早く早起きすればいい、1時間早く始業すればいい。その時に、方法は二つある。時間の進み方を変えずに、起床時間を午前6時から午前5時に変える、始業時間を午前9時から午前8時に変える。このようにすると、経済の諸所の時間(スケジュール)を全て書きかえることになってしまう。それは面倒だ。費用がかかる。フリードマンが提案したもう一つの方法はサマータイムである。サマータイム導入で時間を一時間進めることにより、我々の起床時間は午前6時のまま実際は1時間早くなる。フリードマンは、為替レートの調整により、賃金を個別個別の業種・企業において低くしなくても競争力が回復できることを議論した。

マクロの議論って本質的にこういうものだと思う。何かそのイシューにおける「為替レート」のようなものを見つけ出して、それをどう調整していくか議論することだと思う。つまり、起床時間をall Japanで個別に午前6時から午前5時に変えるにはどうしたらいいか、というのはあまり質の高いマクロの議論ではないと思う。非常に手間のかかる労多い作業だ。それをマクロで議論するってこと自体も不毛だ。そういうことはミクロの現場に任せておけばいい。ミクロの現場では、起床時間を一分早めるのにどういう工夫が必要か、いつもいつも議論して、実験して、フィードバックしている。現場ってそういうものだ。

日米教育交流で学生のmindsetを留学に向かわせようと変革しようとマクロで議論しているセミナーには、そういう労多さ感が漂う。否、漂っていなくてはいけない。端的に、それは「しごき主義」だ。確かに、学生がpro留学になるmindsetを持てば、留学の数は増えるだろう。しかし、それは労多いミクロの議論で、マクロの議論ではない。マクロの議論とは、何が「為替レート」なのか、それを調整していけばマクロの変数がどう増えるのか、実証するとどうなるのか、そういう議論だろう。もちろん、ミクロの参加者は学生のmindsetを議論する。それが現場だからだ。しかし、マクロの議論をするってことはそれだけでは済まない。マクロの研究者は「為替レート」の議論をしなければいけない。ミクロの議論だけなら、マクロの議論やセミナーは総じて不要だろう。

教育のマクロの研究者は、何が「為替レート」なのか考えているのだろう。いつかそれを教えてもらおう。そうでなければ、マクロの研究課題は無い。全てがミクロだ。

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大塚啓二郎『なぜ貧しい国はなくならないのか』(日本経済新聞出版社、2014年)

大塚啓二郎『なぜ貧しい国はなくならないのか』(日本経済新聞出版社、2014年)を速読しました。

第一、大塚先生自身が率直に知らないことは知らないと書かれています。例えば、p.124では、アフリカにおいて『2005年ごろから穀物生産が人口に追いつくようになってきた。直接的な原因は必ずしも明らかではない』と言っています。こういう部分は、後進(の大学院生)がちょっとデータ分析をすると何か示唆が得られるのかもしれません。他にもいくつかそういう箇所がありました。総じて第2章の貧困の議論は大塚節でした。でも、Deaton等で補えばよいので、面白かったです。

第二、大塚先生がpicking the winnerを明確に支持されていることがわかりました。農業については、pp.206-211でコメを選ばれています。製造業についても、cluster-developmentをするにあたって、それぞれの国についてある業種を選んでいることは明白です。この意味で、単にマーケットに任せればよい、単に国それぞれの開発戦略があるべきだという一般的な立場よりも、政策担当者に友好的な処方箋になっていると思います。バングラデシュについてのMottaleb and Sonobe (2011)を読んでみようと思いました。

第三、Picking the winnerをしたうえで、農業と製造業について、それぞれp.211とp.221で発展戦略を明示的に図にして議論されています。そこでは、知的・人的資本→インフラ→物的資本(その前提となる信用の供与)という一般的なパターンが提示されています。順番(sequence)をあまり議論しようとしない既存の議論に比べて、より政策担当者に友好的であると思えます。

 私には、ここの論理展開はそれなりに説得的だと思います。例えば、メキシコのインフォーマリティを議論したマッキンゼー研究所のレポートでは、distortionを取り除くことに政策対応は集中しています。そこでは、連邦主義を利用した各州の競争原理を用いた人的資本の向上プログラムは議論されていないようです。私には、そういう大塚流の考え方はより好ましいものです。
http://www.mckinsey.com/insights/americas/a_tale_of_two_mexicos

 私は、援助においては「動かないが自ずと向上心のある人」にターゲットをあてるべきだと考えてきましたし、それがグアテマラでの地方テクノクラートへの焦点の背景であったように思います。この視点と大塚先生の視点には類縁性があるように思えます。

第四、政治はまったく範疇外にあります。ですので、大塚先生が考える政治と経済の関係を知ろうとすれば、やはりOtsuka and Shiraishi (2014)を読まないといけないようですね。

第五、私にはよくわからないところがあります。たとえば、p.148のB国の技術進歩が非常に進んだ時に、『A国で相応の進歩がなければ、A国とB国は正面から競争することになる。A国の産業は、以前よりも厳しい競争にさらされ、採算が悪化する。その結果、A国の生活水準は低下する可能性が高い。』というところは、どういうモデルの上で出された結論かはわかりません。例えば、多数財一生産要素のリカーディアン・モデル(ドーンフッシュ=フィッシャー=サミュエルソン)では、相手国が生産する財が全て生産性が上がった時に、自国の実質賃金が上がり、その意味で生活が改善することがわかっています。

第六、p.150の図5-1に関連した議論は、WDR 2013 (Jobs)のChapter 7, Fig. 7-2に関連した議論と同じである。

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英語ことわざ教訓事典  安藤邦男著

英語ことわざ教訓事典  安藤邦男著

教訓のテーマ別分類」が凄い。読んでいて凹むわ。アハハ。

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