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『商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道』

商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書) [新書]
新 雅史 (著)

【寸評】

好著だし、すぐに読めるのでmust-read bookだと思うので、尚更こうしてくれたほうが良かったという気持ちも湧いてくる。四点。

 第一、商店街の通時的な数のグラフが欲しかった。数字の上で、いつ公式「商店街」が増え、減りという数字は大事だと思う。特に、1930年代ごろからの発生という、野口 悠紀雄氏のいう『1940年体制』とも繋がる商店街の「公式」承認との関係は数字と合うのかという疑問が残る。

 第二、商店街の地域的な変遷が大事だと思う。pp.73-81の自生的な商店街の発生の資料が関西エリアに限定されているのは、商店街は関西に発生したのか、それとも資料がたまたま関西エリアに限られているのかという疑問を生じさせる。前者は、その後のダイエーが関西に起源をもつように、商業先進地としての関西エリアを示唆するし、後者でも構わない。agglomeration economyを米国について広く執筆したEdward Glaeser (Triumph of the City: How Our Greatest Invention Makes Us Richer, Smarter, Greener, Healthier, and Happier)を考えても、やはり地域的なvariationに触れてほしかった。

 第三、解釈としての経済白書に頼り過ぎの感があるので、そこがなんとかならなかったのだろうか。p.131の昭和45年経済白書のインフレの解釈として、『消費者物価の上昇は、第一次産業と第三次産業の所得を補填するために起きていたのだというのが当時の経済白書の解釈だった』と書いているが、この解釈は文面上読む(まだ原資料に当たっていない、ゴメン)と、一般価格水準を部門間バランスで説明する、かなり政治経済的・構造主義的なインフレの解釈に読める。

 第四、交通インフラとしての都市間道路の発達により商店街が影響を受けたというのは慧眼だが、商店街の勃興・隆盛との交通インフラつまり鉄道との関係を書かないと、交通インフラの転換・変換との関係の全体像が見えなくなると思う。ここは、第二点とも関係するので、agglomeration economyという軸を設定しておいたほうが良かったように思う。

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