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Acemoglu and Robinson, Why Nations Fail

Acemoglu and Robinson, Why Nations Fail.

 最近の成功例として(ルーラの)ブラジルが挙げられているのがとても興味深い。援助においてはEmpowermentの重要性が特筆されていて、これは操作可能なので非常に重要。つまり、援助において、これまで「排除されていたアクター」にどれだけ便宜が図られるかがA & Rに整合的な一つの注目点となる。政治においては、民主主義と多元主義の違いが重要(A & Rは多元主義に重きをおいている)。RCTに対しては、政治的な制約の為に懐疑的。全体として、サックスではなくイースタリーであり、同時にコリアーでもあり、ハンティントンでもあり、バリントン=ムーアでもある。Critical junctureにおいて小さな差異がものを言うという論点は、生物学的でさえある。

 日本について言えば、多元主義という論点が大事だし、ペルー・フジモリ政権のメディアへの対応が非常に示唆的だと思う。田中明彦先生は本書を読んで理解する度量が当然あるので期待しましょう。

 皮肉なことに、本書に至るまでに経済学界のスターお歴々によってすでに元のペーパーが読まれ、本もコメントされてしまったために、レビューの書き手が経済学界ではいなくなってしまった。とするとeconomic journalistやpolicy intellectualがレビューを書くしかない。FTではマーティン・ウルフが字数の制約の為か切れ味の無い書評を書き、NYTにいたってはPlanet Moneyのアダム・デイビッドソンが書いており、これは負担が大きすぎだ。現在、二巻本の二巻目を執筆中のフランシス・フクヤマは嫉妬とも言えそうなレビューだ。EconomistのButtonwoodはすっきりしたレビューこれも)。Economistのレビューはまずまず。マシュー・イグレシアスのレビューはこれでHunger Gamesをふまえている。

 世界史を書くような歴史学者にレビューをしてもらいたいものだ。ご本人たちのブログはこれ

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