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Securitization in Medieval Japan

桜井 英治『贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ』(中公新書、2011年) 。

p.165: 『人類史における信用経済の歴史はかならずしも右肩上がりの発達をとげてきたわけでなく、寄せては返す波のように発達と衰退をくり返してきたというのが実態に近い。日本の前近代においてはそのピークは三度あり、いま問題にしている中世の信用経済とはそのうちの第二のピークをさす。』

pp.168-9: 『ともかく折紙の約束手形的使用とその沈静化が、時期的な一致からみても、13世紀末にはじまり15世紀末から16世紀初頭に終わりを告げる第二のピークと連動していたことはまちがいない。それまで京都の金融界を牛耳ってきた山徒(延暦寺の下級僧侶)の土倉があいついで没落し、俗人の土倉に取って代わられるのもちょうど同じころであり、15世紀末から16世紀初頭には信用の担い手にも大きな交代がおきていたことがわかるが、さらに同じような交代は債権だけでなく、物権の世界にもおきていた。

 中世の人びとは、さまざまな経済関係や、ときには人間関係に近いものでさえ、文書化しさえすれば自由に譲渡できると考えていたふしがある。前後の時代の人びとにくらべてさまざまなモノやコトを権利化、不動産化することに長けていたといえるのである。』

上記の「不動産化」は「証券化」でしょう。桜井氏の説明によれば、平安時代の第一のピークと、明治時代開始による第三のピークの終了が外生的な原因によるものである(pp.165-6)のに対して、ひょっとすると中世経済の第二のピークはバブルかもしれない。

pp.169: 『それにくらべれば中世のナワバリの多くは、たんなるオーラルな秩序ではなく、文書主義に貫かれていた(証文が作成された)こと、そして同業者以外の者にたいしても売買や質入れが可能であり、裁判でもしばしばその権利が認められた点で、所有権としており成熟していたといえよう。』

pp.172-3: 『15世紀末から16世紀初頭にかけての変化とは、このような中世的な観念体系が解体し、パーソナルな関係の復活・巻き返しがおきたということである。事実これ以後、物権や債権は、以前ほど容易には流通しなくなる。この変化がなぜおきたかを説明するのはむずかしいが、少なくともこのドラスティックな変化がおきる以前の社会においては、贈与経済と市場経済とはきわめて親和的な関係にあった。』

p.187: 『さて話を15世紀の幕府にもどすと、このように貴族たちを何度も困窮から救ってきたであろう将軍家御物も、八代将軍義政のころになると幕府の財政難からついにその放出を余儀なくされる。いわゆる「売物」というかたちでの売却が本格化してゆくのである。』

バブルの崩壊?

流通経済史, p.49: 『一般的交換手段としての貨幣は自鋳するまでもなく中国から十分に供給されていた。十分供給されているものをことさら莫大な費用とリスクを賭して自鋳する必要はない。日本においてこの必要が生じるのは中国からの銅銭供給が途絶する1570年代以降であり、それが実行に移されるのはさらにくだって17世紀の寛永通宝の鋳造を待たねばならない。』

p.52, 『その原因は、アカプルコ-マニラ間定期航路の開設によって大量のメキシコ銀が中国沿岸部に流入し、日本への最大の銅銭密輸基地であった福建地方を銅銭経済圏から銀経済研に塗りかえてしまったことにあったが、その結果、西日本では銭遣いから米遣いへの急激な転換が起きた。』

銅銭供給の途絶がバブル崩壊のきっかけではない、百年違う。

p.62-3: 『15世紀にあれほど隆盛を誇った割符は、16世紀にはいるとほとんど流通しなくなってしまうからである。』

p.63: 『応仁・文明の乱後、京都における人口の多数を占めてきた守護とその被官層があいついで在国した結果、京都の商品需要が減少し、商品流通の求心構造が変質したこと、在国した守護あるいは戦国大名による領国形成が進んだ結果、生産物が地方に蓄積され、荘園年貢の求心構造が変質したこと―いずれも割符の流通を支えていた重要な構造だけに、それが変質すれば割符のシステムにも影響がおよぶことは避けられない。』

p.63: 『割符の衰退原因としてもう一つ指摘しておかねばならないのは、割符を含め、中世における債権流通一般を支えていた中世的文書主義あるいは文書フェティシズムと呼ばれる観念がこの時期に崩壊を迎えることである。』

 Probablemente, aquí se puede crear un pequeño modelo a la manera de Avner Greif.

p.62: 『「違い割符」(割符の不渡り)が起こると荘園領主はその割符を荘園現地に送り返し、再度確実な割符の送信を求めた。現地の代官・荘官は割符をもちこんだ遠隔地商人に賠償を求めることになるが、割符の流通が盛んになった段階では、その商人を捕捉できないケースもふえてくる。その際にとられた手段が、たまたま現地にいあわせた他の遠隔地商人から債権を回収する、いわうる国質・所質などと呼ばれた質取慣行であった。質取りの対象となった商人は、真の債務者を探しだしてみずからこうむった被害の弁済を求めるわけだが、彼自身は必ずしも真の債務者と関係のある人物とは限らない。』

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