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鬼頭宏『文明としての江戸システム』

鬼頭宏『文明としての江戸システム』(講談社)。

p.104: 江戸、出身地による居住地に違いがある。北陸・長野・山梨の人は浅草・本所・深川に居住する傾向が強かった。赤坂ほか十一カ町に西日本出身者、とくに近畿出身者が少なからずあった。理由その1は、出身地へ向かう街道の近辺。その2は職業との関連。その3、大名屋敷の近隣に出入りの商人や奉公人が集まる傾向があった。高度経済成長の頃でも、出身地による都市内部の居住地選好は明瞭に残っていた。

p.108: 1820年代以降、(出生率は)徐々に上昇していった。この時期の人口成長は、文政期に始まる幕末の経済成長と関連して起きたもの。

p.110: 幕末期の人口増加とインフレーションとの関係。食料をはじめとする生活物資への需要の拡大は相対価格の問題。絶対価格のインフレーションはマネタリーな問題とするのが一次接近か。

pp.128-9: 推計された実収石高は幕府の把握した全国石高を元禄期で19%、天保期で22%、明治初期では45%も上回る結果となった。⇒とすると、幕末に米はあったのか?やはりインフレーションはマネタリーな問題とするのがよい気がしてきた。

p228: 米価の地域相関。

p.236: 1818年に始まる貨幣改鋳は、江戸時代最後の50年間における経済変動の引き金になるものであった。

p.237: 米価と一般物価指数の相対価格。1820年ごろから米価の高騰のほうが大きくなった。

pp.264-268: 三浦梅園は『価原』で経済に対する鋭い観察をおこなっている。米の豊凶と賃金との関係について指摘。観察=豊作の年に労賃が上昇する。凶作⇒労働供給が増大⇒賃金減少。豊作⇒①借入に雇用労働者を必要とする⇒賃金上昇。豊作⇒②農民は食べるものに事欠かないので、労働供給減少⇒賃金上昇。

pp.307: 寺子屋は1830年代以後は爆発的といってもよいほどの勢いで増加している。

参考文献が多く、やや随筆風の概説書なので、読みやすい。幕末の人口構成はどうだったのだろうか。識字のある若者が多くなっていたのではないだろうか。これが、明治維新の背景を支えるのかもしれない。

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