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第2の大学就職課へ…パソナ、就活支援に進出(2009年11月1日08時18分 読売新聞)

第2の大学就職課へ…パソナ、就活支援に進出(2009年11月1日08時18分  読売新聞

第2の大学就職課へ…パソナ、就活支援に進出

 人材派遣大手のパソナグループは、全国の大学から学生の就職支援を請け負うサービスを11月から本格的に始める。

 東京・表参道と大阪・梅田に開設した就職活動向け拠点を契約先の大学の学生に無料で開放し、求人情報の提供や、パソナのスタッフによる模擬面接などを行い、「第2の就職課」の機能を担う。

 パソナは、女子大生に対しては、本番の面接で企業側から好印象を得られるようなメークの指導など、大学の就職課が手を付けていないサービスも提供する。7月に明治学院大(東京)、西武文理大(埼玉)と試験的に契約して反応を探った。

 すると、大学に寄せられる求人情報が少なく、学生が上京しても都心部で最新の就職情報を収集する拠点がないなど、ハンデを抱える地方の大学から問い合わせが相次いだため、全国の大学を対象に事業を展開することにした。
(2009年11月1日08時18分  読売新聞)

 「就活コンサルの利用」から、「就職課」へと大学の就職活動サポートにおけるアウトソーシングが次の段階へ移ったと言われるかもしれない。この就職課『アウトソーシング』が上手く働くかは三つの論点がある。結論から言うと、純粋なアウトソーシングとして考えると良くないだろうと思う。
 まず、この外部就職課によって、企業が求める人間が作れるかというと、森氏の本に書いてることが正しいとすれば、たぶん作れない。三年間にわたる作りこみが必要な作業を数ヶ月でできる可能性は極度に低い。つまり、森氏が書くレベルで採用活動に時間と金を傾注している企業にはほぼ対応は効かない可能性が高い。もし大学側の思惑がそういうところにあれば、外れる可能性がある。もちろん、それほど採用活動に時間と金を使っていない企業については対応できる部分もある。
 次に、アウトソーシングした場合に、この表参道オフィス(別に、銀座でも新宿でもテナントは空いているのでどこでも開けるはずだが)に行く3年生(及び4年生)は限られる。そもそも、就活イベント参加の問題は、参加が必要な人ほど参加しないという点にある。そして、この層が「それほど採用活動に時間と金を使っていない企業」に志望を定める可能性が高い。しかし、自分の生活圏に近い学校のイベントでさえ参加しない人が、わざわざ表参道オフィスに行くのかという点である。そういう人もいるだろうが、逆の場合のほうが多いだろう。すなわち、代替財として考えると(アウトソーシングならそういうことだ)、底上げ努力が低下し、かえって厳しくなる可能性がある。ということは、補完財として考えたほうがよいということになる。
 最後に、補完財として考えるとするのなら、これはアウトソーシングではなく、選抜塾のようなものだろう。就活「上位」層は学校主催の就活イベントが「誰でもできる・一般的なこと」を教えると、イベントから離れることになる。学内での就活イベントの問題は、就活コンサルには「参加者の誰でもできること」を教えようというインセンティブがあるにも関わらず、就活「上位」層は、当然のことだが「誰でもできること」では満足しないということにある。この「上位」層を、自己選択で自ずとオフィス環境に押し込むという戦略である。さて、ここでの課題は、パソナに代表されるような人材企業が、この層に対応できるだけのノウハウを持っているかということである。提供されるサービスが、求人紹介、化粧指導であれば、この層は結局は本サービスを見放すことになり、表参道好き学生の待ち合わせ場所と化す可能性がある。

 以上の意味で、費用対効果はなかなか厳しいように思う。もう一つ、実は「地方」の大学については、副次効果がありえて、これが重要な気がする。

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