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20年前の私よりも優秀な人のサイト

 稲葉・山形氏のブログ上の会話で、山形氏は下記のように書いている。

今回の一件は、ブログが民主的な情報の精査と冷静な判断につながるというレッシグ的なテーゼがいかにあてにならず、しょせんは情報スクリーニング能力のないメディアと野合した烏合の衆の気分増幅ツールでしかないかを示していると思うので、見ていて苛立つのです。

なるほど、そういうものかと思うと共に、より気合を入れて時間をかけて、メキシコの新聞を精査して、情報を提供すべきだったかとも後悔した。しかし、世の中にはそういうことをやっている人々がいるだろうと軽く検索してみた。すると、「僕墨日記」というサイトが見つかった。
 私は20年前に日墨交換留学奨学制度により一年間、大学を休学してメキシコに行ったのだが、私の憶測では、この方も同じパターンのようである。しかし、この方は優秀だ。スペイン語をDELEと結びつけてかなり勉強し(私といえば素晴らしい先生にもまれた幸運)、Microeconometricsと格闘し(私は消費者行動に関心があっただけ)、PROGRESA / Oportunidadesをサーベイし(私は何を勉強したかな~そうそう、Guillermo O'Donnellを読んでいたのだ)、TEXを習得し(私はパソコンと離れてました)、今は、メキシコの新聞を読みながらインフルエンザ・レポートを適度に行なっている。
 いま世界でもっとも重要な情報・知識の一つと私が思うのは、メキシコの感染者と死者の属性であろう。男性か女性か、何歳か、所得はどのくらいか、そういう情報を現地新聞のレポートから、データベースを作ってみるとかなりのことが推測できるかもしれない。そういう手順は、まさにスペイン語とMicroeconometrics、そしてPROGRESA / Oportunidadesの知識(疑問:定期検診が義務化された、就学児童をもった貧困層母親の感染はどうなのか?)が必要とされる。事実上の外出禁止令で家に足止めされたら、そういうことをしてみたら素晴らしいと思う。新聞には根拠の無い情報がたくさんあるから見る目を要求されるので、こういう方が挑戦してみると良いと思う。

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Comments

はじめまして.que_es_queと申します.「僕墨日記」を取り上げていただいきましてありがとうございます.現在は日墨交流計画で留学させていただいています.

>メキシコの感染者と死者の属性 [...] 男性か女性か、何歳か、所得はどのくらいか

おっしゃられているように,なぜメキシコのみで死者がでているのかはメキシコでも疑問の一つにあがっています.アメリカ・テキサス州で亡くなったのもメキシコ人の赤ん坊(23ヶ月)です.これはメキシコ人だけが持つ特殊な人体構造に問題があるのかとの疑問がありますが,その可能性はほとんどないと思います(断定はできませんが).要因を知るには,死亡者の詳細を探る必要があると思います.男性か女性か,何歳か,居住地域はどこか,これらは新聞でも少しだけ載ることもありますが,ほとんどわからないと思います.また,仕事,所得,家族構成,死ぬまでにどのような行動をとっていたのか,医者には行ったのか等,プライバシーに踏み込むことなので普通の人が調査はできないとは思いますが,この辺りを調べることで死の要因も徐々にわかるのではないかと思います.

最後に,リンク先を見させていただきました.

>現地にいるからといって事情がわかるわけではない

これはごもっともだと実感しております.現在の境遇から,「自分は特別だ」と勘違いしてしまう,自慢したくなってしまうというのは人間としてわからなくもないですが,他人からしたら苛立つ以外に何もないのかもしれませんね.気をつけます.

Posted by: que_es_que | 2009.05.04 at 12:10 PM

 que_es_queさん、コメントを有難うございます。二点書きます。一つは、「現地にいるからといって事情がわかるわけではない」について。もう一つは、属性についてです。
 「現地にいるからといって事情がわかるわけではない」については、「インターネットの時代にあっても、現地外にいるからといって事情がわかるわけではない」ということなので、あまり気をつける必要はないかと思います。メキシコでなぜ死亡者が多いのかという疑問について、考えるスタートラインには現地にいるかいないかと関係なく、誰でもつけるということなのでしょう。私のコメントでかえって、que_es_queさんが今後のリポートを手控えてしまうことを心配します。
 もう一点、属性ですが、5月3日(?)の感染者506人死亡者19人を報告したコルドバ保健相の会見(El Universalのビデオ)を見ると、性別と年齢構成がわかりました。506人中女性は272人、男性は234人。0-9歳が122人、10-19歳が120人、20-29歳が98人、30-39歳が69人、40-49歳が51人、50-59歳が34人、60歳以上が9人、データ無しが3人だそうです。男女別の年齢構成がわかるともっと見えてくるものがあると思うのですが、とにもかくにもこれとINEGIが報告しているメキシコ全国の年齢構成とを比べると、多少コントラストが見えるのでしょう。ただし、もともとのサンプルバイアスのことを少し考える必要があるはずです。El Universalによれば、コルドバ保健相は同記者会見において、感染はurban areaに見られると述べたそうで、常識的にはうなづける話ですが、このあたりも多少はgrain of saltを感じておいたほうがいいかもしれません。
 どう思われますか?

Posted by: ひさまつ | 2009.05.04 at 12:37 PM

ご返信いただきましてありがとうございます.どこにいようと「いる」だけでは何もわからないと思います.それを現地に「いる」だけで,嬉しそうに語るといのうが他人の反感をかってしまうのでしょう.インフルエンザのことを一日中調べることはできませんが,個人的なメモ程度で今までのように書いていこうと思います.ご心配していただきありがとうございます!
では本題です.感染症は本人の意図と関係なく感染してしまうというところに問題があると思います.夫が感染した場合,妻や子供まで感染する可能性があります.学校で流行すれば子供同士そして家族へと広がる可能性があります.学校が休みになってから拡大を続けているのなら学校外での要因は高いと思います.誰が最初に感染したのか,どのような家計が感染しているのか,また,感染者同士の人間関係というのが大きな要因であると感じています.単純な計量分析だけでは間違った結果を出す可能性が高いので,質的調査がまず行われるべきだと考えています.
在メキシコ日本大使館のWebページにおいて5月3日午前(メキシコ時間)の記者会見の概要がでていますので,そちらでもデータを見ることができます.しかし,昨夜の記者会見で既に人数は多少変わっています.今後Webページが更新されると思いますが,感染者は590名,うち,死者は22名と聞いています(念のため確認してください).死者のうち15名は女性,7名が男性ということで男女間の違いというのは疑問点の1つだと思います.やはりこれだけの数値では憶測だけしかできないので,結論付けるにはまだまだ情報が必要だと感じています.
僕も都市部に感染者が多いと聞いています.アメリカでもNYが一番感染が多いようです.インフルエンザは開かれた空気中で感染する可能性は少ないと思います.なので,農村部と比較して,人口が密集している,近距離で感染者と話す,都市部のような閉じられた空間(オフィス,公共交通機関等)の要因が感染に関わっているのではと予測しています.これも憶測ですので,疑う余地はあるかもしれません.

Posted by: que_es_que | 2009.05.05 at 01:41 AM

どこかでお聞きした名前で,経済学のことも専門的に書かれていらっしゃるので,もしかしたらと思い調べましたら,あのひさまつ先生だったのですね.失礼いたしました.まだ大学院生という身分でのご無礼お許し下さいませ.
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます.

Posted by: que_es_que | 2009.05.05 at 02:04 AM

 que_es_queさん、コメントを有難うございました。「あの・・・」と呼ばれると、色々と悪行(?)をしたのだなぁと感慨深く思ってしまいます。アハハ。古典的かつ教条的な発言をすれば、ブログは開かれた(or自らを晒す)メディアですから、失礼も慇懃無礼も余りお構いなく、お互いに寛容にいいとこどりでやっていきましょう。とにもかくにも、大学院生ということでしたら、学業のほうの前進も祈念します。何の気休めになるかわかりませんが、私の20年前よりも貴方はずっとずっとセンスが良いと思います。よく自己鍛錬を怠らずなさってきたのでしょう。敬服します。
 さて、在メキシコ大使館のホームページを確認しました。ありがとう。22名死亡者の会見でのサンプルは約1500名ですね。仰るとおり女性の死亡者が圧倒的に多いですね。コルドバ保健相は『性別間による差は存在し続けている。例えば、社会的な要因により、受診が遅れるケースが多い。』と言っていますね。ここに応用ミクロは切り込む可能性があるはずですね。簡単に思いつく模型では、第一段階で診療を受けるかを決断し、第二段階でその結果がわかるということかしら。もう一つ、サプライサイド(診療所へのアクセス)も考慮する必要があるかしら(直観では、都会の病気らしいのでここは最初は考えなくてもいいかも)。憶測での断言は断罪されるべきでしょうし、集合知の形成がインターネットの重要な機能でしょうから、私が間違っていそうだったら遠慮なくビシビシ指摘してください。お願いします。
 いろいろな数字が出ていますが、%ではなく実数で教えてくれたらいいのにと思います。学歴はINEGIのconteoと比べた感じではパッと見で全国平均と似ているような気がします。DFだけで見れば、DFの人々は全国平均よりやや高学歴かもしれませんが、必ずしも貧困層が死亡者ということではないのではないかと憶測します。さらに憶測を進めて、仮にもし都市非貧困層(中間層)が被害者の典型的なプロフィールであるとすると、その原因の一つには、農村貧困層に対するPROGRESA/Oportunidadesの何らかの予防機能があるかもしれません。感染者の年齢構成は、全国平均と比べると巷間言われるように若年層が多いですね。これは感染経路との関係(ひょっとして学校?)があるかもしれません。感染者の男女比率はあまり全国平均と違わないような第一印象があります。もちろん、ここは統計的に有意か見ておく必要があります。感染者と死亡者の男女比率のコントラストは、社会的な要因が介在していることを示唆しているように思います。
 保健省の政策は、潜伏期間だけ経済活動を停止させ、その間に申告を勧奨し、検査を行い、一網打尽にしてしまおうということでしょう。その後は、農業省と合同で発生源の解明に入っていくのでしょう。ここは業界利益と絡むと一苦労かもしれません。
 もしよろしかったらコメントください。Thank you again. ではまた。

Posted by: ひさまつ | 2009.05.05 at 05:16 AM

ご返信ありがとうございます.「あの…」というのは驚きを込めて使っただけですので全く悪い意味ではありません...コメントやブログ上で自分の無知さを曝け出しているようで大変お恥ずかしい限りです.「集合知の形成」という点では全くの同意ですので,至らぬ点はあると思いますが,このような議論を通して勉強させていただけることを光栄に思います.

データが徐々に追加されているようで,全体的な分布(男女比)に近づいていると記者会見での報告もあるようです.Secretaria de SaludのWebページにも記者会見の内容が文字化されているようです.ただ死亡者に関しては依然女性が多いように思えます(あと人数が少数なところに%を使われるとちょっとわかりづらいですね).今後のデータの追加で数値が変わる可能性もありますが,やはり「社会的な要因」の結果でしょうか.「感染者と死亡者の男女比率のコントラストは、社会的な要因が介在していることを示唆」,この点についてはまったくの同意です.残念ながら,応用ミクロの理論的な点はまだまだ知識不足でコメントできませんので,お許し下さい.

20歳未満の感染者が約50%であると思いますが,このうち学生が何%含まれているのかはわかりません.働いていて感染したのか,家族から感染したのかは予想はできません.もし学生だったとしたら,学校が休みだったにも関わらず,これほど感染が広がっているというのは他の感染経路があったと予想します.父もしくは母が家族の一員に感染を広げていたのかと.都市部における,比較的,子供の多い世帯においてでしょうか.

死亡者の学歴を見る限り,貧困層のみが死んでいるわけではないというのは感じます.PROGRESA/Oportunidadesに予防機能があったのか,断言できませんが,これはありうるかもしれませんね..健康状態の異変があれば,相談しやすい環境が作られていたので,すぐに相談できたのかもしれません.もしかしたらです.

学歴で判断するだけでは分からない点が,感染症対策への知識だと思います.いくら高学歴でも感染症への知識を持っているとは限らない点が重要だと思います.おそらく日本でも状況は同じだと思います.ただの風邪だと勘違いし,感染していても働き続けていた(働き続けなければならなかった)というのが感染拡大の大きな要因だと思います.事前に感染症の可能性を知らされていればすぐに病院へ行った人々が多数いたと思います.

今回の件を経済学的にどれほど分析できるのかはわかりませんが(医学的,社会学的,政策的に貢献できる要素のほうが大きいと思いますが),何か興味深い点が見つけられると学術的な貢献できるかもしれませんね.今後のために,医療分野(特に経済学と関連した)の知識を身につけるいい機会になるといいのですが.
なお,今日の記者会見より,大学は7日から始まるようです.再開とともにまた拡大が広がらないことを期待しています.

Posted by: que_es_que | 2009.05.05 at 09:48 AM

 que_es_queさん、早速に丁寧なコメントを有難うございます。

「学歴で判断するだけでは分からない点が,感染症対策への知識だと思います.いくら高学歴でも感染症への知識を持っているとは限らない点が重要だと思います.」

 この指摘は重要ですね。今回の自粛政策で感染症の知識が広く伝わるといいですね。「学習」の役割ということになりましょうか。医療機関に行く意思決定における性差と共に重要なポイントだと思います。医療経済学および健康経済学はかなり進んでいるようですから、これを機会に私も勉強してみようと思います。
 学校再開で復活しないといいですね。いろいろ気をつけられるところはお気をつけください。また何か興味深いことがあったら教えてください。ありがとう。ではまた。

Posted by: ひさまつ | 2009.05.05 at 11:15 AM

ご返信ありがとうございます.ミクロ経済における意思決定に関する理論,また医療経済学,健康経済学の分野も含めて理解を深められるよう今後勉強しようと思います.
貴重な議論ができ(偶然にも!!),いろいろと視野が広がりました.まだまだ未熟な身ですが,ひさまつ先生のような一人前の研究者になれるように頑張ります.ありがとうございます!

Posted by: que_es_que | 2009.05.05 at 12:32 PM

que_es_queさん、こちらこそ勉強になりました。何かペーパーを書かれた際には、どうぞ大学HP記載のメール・アドレスに送ってください。また勉強させてもらう機会を楽しみに待っています。ありがとうございました。ではでは。

Posted by: ひさまつ | 2009.05.05 at 01:35 PM

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