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ソマリア海賊話

 ソマリア海賊話は、地政学・開発経済・国際政治が絡み合って非常に興味深い。<警告:取り留めなく書き散らすので、正確に理解するにはもっと裏を取る必要があります。>まとめると、破綻国家の諸相ということなのだが、下に引っ張ったRachel Maddow ShowでのNikolas Gvosdevの説明が簡素で面白い。どうも、1990年代のソマリア漁師が、アジアやヨーロッパからの不法漁船に対して自衛するために武装してたら、スエズ運河⇒紅海を通ってでてきた船を見て、ここに魚よりもっと良い金づるがあるんじゃないのと思って海賊になったということだ。つまり、不法漁船から領海を守れない破綻国家の存在がある。そして、武装が簡単だという内戦・内乱・破綻国家状態が前提にある。海賊ビジネスの内実については、このIHTの新聞記事が詳しくて参考になる。
 Gvosdevの説明で気になった、海賊がソマリアの外貨獲得の最大手段であるとの発言に、これは国際収支のリアリティ・チェックの必要があると、IMF-IFSを見てみたら、さすが破綻国家、データが無い。WBのWDIにもあまりデータが無い。ちょっと意固地になって、データを新聞記事などから集めてみました。
 1)輸出: すぐに思いつく外貨獲得手段は輸出です。CIAによれば約3億ドルとのこと。
 2)援助: OECD-DACのデータが入手可能です。約4億ドルぐらいだったかな。全てが贈与だと思います。(日本の援助関係者が人質になっていますね。早く解決されることを願っています。)
 3)海外送金: 海外ソマリア人の送金です。方法についてはこれでわかりそうです。金額については、これを見て約5億ドルと目の子でおいておくことにします。
 4)海賊による身代金: 5000万ドルとの数字もありますが、国連の安全保障理事会に提出された事務総長のレポート[S/2008/709 (17 November 2008)
Report of the Secretary-General on the situation in Somalia]では3000万ドルと書いてありました。
 総計で12.3億ドルです。次に、輸入が約8億ドルらしいので、差額は4.3億ドルです。この金の使い道は、私の直観では二つあると思います。一つは、不正な輸入、つまり武器・火器の輸入です。内戦・内乱をやってますから、武装は重要です。もう一つは、政府官僚を中心とした海外での蓄財です。これ以外の使い道はあんまり考えられません。中央銀行の外貨準備?ソマリア企業の海外直接投資?破綻国家ではあまり考えられません。
 この4.3億ドルがだいたい援助額と同じだというところが、破綻国家の厳しいところです。事務総長のレポートでは300万人が平和と援助を求めているということで、人口が900万人弱ですから、約3分の1が極貧の危機に瀕しているのでしょう。その一方で、『高級車にネットカフェ…繁栄するソマリア海賊の町』と海賊景気が盛り上がっていることも破綻国家の一面であるようです。
 こういう問題を根本から考えるためには、コリアー『最底辺の10億人』が最初の本としてよいでしょう。

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