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ポール・クルーグマンはポールソン・プランに反対してしまいました。

Bs  NYT op-edで、ポール・クルーグマンはポールソン・プランに反対してしまいました。ポールソン・プランは、銀行の不動産関係の証券(つまり、銀行のBSではA (Assets)の部分)を財務省が買い取ってあげるというプランです。現金化できる資産を増やしてあげようというのがポールソン・プランです。その際に、資本(つまり銀行のBSではK (Capital)の部分)の問題は見ないことにしようというのです。つまり、ポールソン・プランはBSの左側だけを見るプランです。
 クルーグマンは、それは駄目だと言います。貸し渋りが起きている理由は、Kのところ、つまり過小資本にあるのだと考えています。だから、資本を注入して、政府はstakeをとらなければならないと言っています。つまりのBSの右側から見ろと言っています。
 つまり、いわゆる、liquidityとsolvencyの問題です(See Mark Thoma)。liquidityだけが問題であるのなら、たしかに実質価値で流動性のある資産と交換してあげれば済みます。しかし、solvencyの問題であれば、支配権のついた資本注入が必要になるのです。論理的には、完全情報では、illiquidityはinsolvencyにより起こります。Solventなinstitutionはliquidなはずです。しかし、不完全情報では、solventなinstitutionでもilliquidになりえます。ポールソン・プランの前提は「不完全情報でsolventなinstitutionがilliquidになっている」ということです。クルーグマンは「今はたしかに不完全情報だが、そうであれ現状はinsolventに近いinstitutionがilliquidになっているのだ」と言っているのです。
 Flow of Fundsを使って、不要な封筒の裏で過小資本になっているか計算をしてみましょう。2007年6月末(subprime loan crisisの前)に不動産ローンは13兆5千億ドルありました。商業銀行はその4分の1ぐらい所有しているようです。3兆4千億ドルです。15%価値が落ちたとすると5千百億ドルの損失です。商業銀行の総金融資産は10兆2千億ドルです。元々10%の資本を用意していたとすると、1兆千億ドルです。たしかに、半分ぐらいの資本が消えていることになります。過小資本の問題(とそれに伴う貸し渋り)は発生しているだろうと言えましょう。そして、不良債権問題は、不動産債権以外にも起きているはずです。これは追加的に資本を減らしていきます。
 結論としては、ポールソン・プランは資本注入でないという意味で、かなり根本的な解決になりません。ただ、この政権交替のtime limitで何ができるかというのは微妙なところです。RTC typeの組織を作るのには時間がかかります。即効性のある計画を立てるのは非常に大変ですね。

 ちなみに、この前のポストのTシャツ写真をクリックすると拡大されて、BSの図が出てまいります。はい、宣伝でした、終わり。

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Comments

なるほど、liquidity/solvencyという区別があるんですね。
例によって門外漢の感想ですが、この区別にはどの程度まで心理的な側面がありうるのか? とか、そういう区別があるとして、複式簿記のレイアウトにも反映されうるのか(たぶん、そんな風には当事者は感じてないとは思いますが)、とか、勝手な連想が広がります。

Posted by: YN | 2008.09.22 at 08:20 PM

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