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日本は行方不明中: サミットにおける見えざる主催役(Japan goes missing: invisible host at the summit)

Japan goes missing: invisible host at the summit(私が直訳すれば『日本は行方不明中: サミットにおける見えざる主催役』)と題されたFTのPhilip Stephensを読むには、「FT080703PhilipStephens.txt」をダウンロード 。日経7月6日朝刊2面に紹介されているので、オリジナルと対照させてみましょう。まず、『同紙は「英国はアフリカへの援助、ドイツは地球温暖化への対応と、それぞれ得意のテーマがあったが、今回はそれがかけている」と指摘する』とあります。

Others in the G8 have used their summits to promote pet projects – Britain  trumpeted aid for Africa, Germany climate change. Japan seems to lack any burning priorities.

Pet projectというのは「得意のテーマ」でしょうが、やや皮肉な言い方のような気がします。「お得意のテーマ」とか「お得意の企画」ぐらいのほうがいいのではないでしょうか。日本にかけているのはburning priorities「これをやりたいという意志」ですよね。次、『「日本は依然として世界第二位の経済大国だが、政治的にはその存在が見えないも同然だ」と強調した。』

Japan is still the world’s second most powerful economy. Politically, it is all but invisible.

しかし、この文は最初の文より前にあるのですね。なぜ入れ替えちゃったのでしょう。三つ目、『「今回は新興国から14人もの首脳が来日する。彼らは常に自国の地政学的な展望を考え続けているが、日本はそれをしていない」とし、「新秩序の下では日本は他国からの言及にも値しない」と評した。』です。まずは前半部分。

As many as 14 leaders from emerging powers will make cameo appearances. Lunch with the Chinese, coffee with the Senegalese?

「14人もの新興国からの指導者がやってきてパフォーマンスをする。中国指導者と昼飯、そしてセネガルの指導者とコーヒー?」です。「地政学的な展望」?それはburning prioritiesの次のパラグラフです。

This is all of a piece with its barely visible profile in the global arena. I spend a fair part of my life on the international conference circuit. Never before have governments – of rising as well as mature powers – devoted as much time to peering into their crystal balls in search of a new geopolitical landscape. By and large – I can think of one recent exception –
Japan is absent from such events. What is more, Japan's place in the new order rarely merits mention by its peers.

これはなかなか訳しにくい。『これは全地球的な舞台の上で、ほとんど見える特徴が無い会議である。あたしは国際会議から会議へ飛び回って人生を過ごしてきた。これほどまでに、政府が新興国も先進国も、時間をかけて新しい地政学的な風景を探して水晶球をのぞいてきたことははない。思い出す限り一つ例外があるだけだが、大概、日本はそういうイベントから外れてきた。さらに、日本の新秩序での位置は、他国から言及されるにほとんど値しない。』ということで、かなり日経は意訳してますね。
 さて、Stephensは新秩序において日本の国際的に占める名誉ある地位について、こう述べている。

The most cogent answer I have heard is from a young Japanese diplomat who posits that his country’s natural role is as a bridge between Asia and the west and between mature and rising powers. In this guise Japan would act as a stabiliser in a region that would otherwise be dominated by China: friends with Beijing but also balancing it.

 cogentとは、「力強い」とか「納得させる」という意味ですね。ということで、19世紀のBalance of Powerを想起させるFT記者にはわかりやすい発言ですよね。なぜ、これを日経は引用しなかったのだろう。同じ2面では『外務省も内向き日本か』という記事を出しているので「若い日本の外交官」が述べた意見は引用するのはまずいからかしら。

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