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歌舞伎から就職活動を学ぶ

 就職活動をやっている大学新4年生のほとんどは歌舞伎教室で寝た経験しかないので、使えないポストである。まず、断っておく。
 歌舞伎俳優の訓練は、踊りの訓練を前提としての「型」の習得であるという。たとえば、

「桜丸はまっつぐ死ぬのっ」(関容子『歌右衛門合せ鏡』p.73)

である。リアルと言われる歌右衛門にしてこうであったという。非常に悪い言い方をすれば、型とは「三歩行って振り返って、何十度の角度で見上げる」というのが(魂のない)型である。
 閑話休題、就職活動の最終面接の多くでは、「この人と一緒に働きたいか」が問われる。志望動機も長所も五年後もわかった上で、この人と机を並べたいかが問われるのである。そういうときに、しばしば志望者はリアルな演技になってしまうのである。私の年長者としてのアドバイスは、「型」はいかがですか、というものである。
 リアルな演技とは、現代演劇のようなものだと考えておこう。現代演劇の観客は、事前に期待はしてくるが、あまり勉強してこない。まっさらな白紙になにを見せてくれるかを問うて来る。しかし、歌舞伎は元々よくわからないので(セリフさえ何を言っているのかしばしば判別がつなかないし、後ろで高い声を上げて語ったり唄ったりしている人がいる)、楽しむにはある程度の事前勉強が必要になる。
 俳優側(=就職志望者)としては、面接担当を、勉強してこない期待だけの現代演劇の観客と考えるべきか、勉強してくる必要がある歌舞伎の観客と考えるべきかということになる。ちゃんとした会社であれば後者のほうが近いだろう。とすると、リアルな演技だけではなく、「型」の演技で使えるものは使ったほうがよい。
 例えば、最初に「ニッコリ笑う」(=ニヤニヤではない)。そして、事前に鏡をみて、ニヤニヤとニッコリの笑い分けができるか試す。次、相手の顔にあたかもスクリーンがあって、そこに自分が言うことが出てくるのでそれを読むという形で受け答えをする。さらに、鼻を見ながら語り、ときどき目を見る。そういう技術的な「型」が見巧者の観客(=面接担当)には重要なのだ。魂を売るな、技術を買ったらどうでしょう。

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