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開発経済論放談

 話はレヴィットの『ヤバい経済学』を教科書として使っているところから、最近翻訳が出たイアーズやタレブに話が発展し、レヴィットとイアーズが前提として正規分布派であり、タレブが非正規分布派であるというところに及んだ。そこで、『市場を創る』をテキストとする可能性、、、。

 『市場を創る』は私も学生に読ませたい本の一つですが、3570円と高価な本ですので、二の足を踏んでいます。あとは、ミクロをやらない人々に読ませるのはどうかと思っていることがあります。そういうことで『経済学基礎』や『開発経済論』などの手持ちの講義では、教科書に選定できませんが、もし万一億一兆一、ゼミを開発経済論に作り変えることがあれば、3年秋に輪読してみたい本ですね(今は『企業の経済学』でばっちりやってますので、その可能性はここ1・2年は99%ありません)。

 関連して、大野健一の『途上国のグローバリゼーション―自立的発展は可能か』があると思います。2000年刊行と古いですが、紹介されているIMF勤務時の同僚との会話が興味深く思いました。「発展途上国にはだって、市場はある、市場(いちば)を見てみろ」的な同僚の発言に、そういうものを我々は振興しているわけではないとの大野の違和感が、IMF退職そして石川滋との遭遇に至っていく根本にあったのではないかと思います。

 石川滋は、『国際開発政策研究』において政策をまともに考えたわけですが、黒崎の書評があるようです。2007c 黒崎卓「書評 石川滋『国際開発政策研究』」『経済研究』58(2) April 2007: 187-189.
今気づきました。今度読んでみます。なお、黒崎はガバナンスと開発援助について発言しており、以下のような発言をしています。

『パキスタンの事例で特筆すべきは、日本人の長期専門家が現地に住み、パキスタンの人と一緒に草の根からガバナンスを少しずつ変えていったことです。こういう日本特有の良さを、国際援助コミュニティーの中で、もっと発信してもいいのではないでしょうか。』

 発信すると、すぐに費用対効果の質問が出ると思います。あとは、長期専門家が離任した後にどうなるのかですね。現地のパワーバランスを変化させたため、報復が起こったりしないことを祈ります。さらに、発展の文脈で長期というと最低5年、10年ぐらいが長期だと思いますが、長期専門家は2年か3年ぐらいの派遣ですよね。これは中期とか短期じゃないでしょうか。少なくとも、rigidityが大きい発展途上国において生産要素を可変にできる時間幅だとは思えません。

 「現地に住む日本人の長期専門家」を「現地に住む
日本人魂』の長期専門家」に読み替えて、「現地に住む長期専門家」たる現地の地方リーダーを選んで日本まで来てもらって一か月の講義・ワークショップ・視察で『日本人魂』注入を図ったのが狐崎教授(専修大学)をリーダーに中村准教授(東京大学)と一緒に考えて三年間実行したグアテマラ研修だったとも言えますね(自惚れかもしれませんが)。<関連して、これこれこれこれこれ>『日本人魂』とは、首都のエキスパート及び、太平洋を越えた日本人の講師にまで繋がる人的ネットワークと、具体的な発展のイメージ(予感)でしょう。日本人じゃなくたって、日本じゃなくたっていいんじゃない、とつくづく思います。重要なのは『人魂』のような気がします。人魂って電話やインターネットのように飛べるし、思いが詰まっているものでしょう?

 さて、話を大野に戻すと、上記の大野の判断を、主流派の経済学を使いながらeconomy-wideの土壌でややメニュー方式に改めたのが、ロドリックなどのgrowth diagnosticsであろうと解釈可能かもしれません。F&Dに、もっとも簡明な説明があります。以前に、ボリビアのgrowth diagnosticsがあることは書いたかな。

 ロドリック自身の解釈では、ダフロー的な「ミクロ」の無作為実験と、ロドリック流のgrowth diagnosticsの背景にあるeconomy-wideの
(自然実験的)手法には共通の方向性(パラダイム)があると言っています。翻って、英米の開発業界のここ10年の流行とは、まさに無作為実験であると言えるでしょう。これを強く推進したのがダフローとクレーマーですね。これと並び立つのが、自然実験(歴史を実験とする)派であり、最近のスターがレヴィットということになります。やや強引ですが、上手くレヴィットで始まり、レヴィットで終われました。

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