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モティベーション、もしくは、やる気についての研究と実践

4105mbksywl_aa240__251yikchhbhl_aa240_ 金井 壽宏『働くみんなのモティベーション論』 NTT出版ライブラリーレゾナント、2006年。金井 壽宏『やる気!攻略本』 ミシマ社、2008年。
 私の素養には「モティベーション論」や「やる気論」が無かったので、目のついた研究者による本をめくってみた。前者がいわば理論編であり、研究史がまとめられ、モティベーションの根源として「緊張系」・「希望系」・「持論系」との三つの系譜が引き出されている。つまり、緊張すると「やる気」が出る、希望を持つと「やる気」が出る、自分の「やる気」についての持論(practical theory-in-use)を持つと「やる気」を自己制御できる、という三つの研究系統があるという。著者は、「緊張系」・「希望系」の有効性を認識しながら、メタな「持論系」に組みしており、その観点からいわば実践編ワークブックとして書いたのが『やる気!攻略本』である。
 『やる気!攻略本』で考案されているのは図が二つ、ワークシートが一つである。図の一つ目は図1「やる気!ピクチャー」と題され(p.3)、「基礎力」が下部で支える円があり、円の左、真ん中、右にそれぞれ「緊張力」、「言葉力」、「目的力」があり、円の右上に「関係力」なるキーワードが置かれている図である。「緊張力」と「目的力」は曲線の矢印で循環的に結ばれており、真ん中の「言葉力」自体も小さな曲線の矢印で囲まれている。そして、「関係力」も小さな曲線の矢印(向きは逆)で作られた円で囲まれている。
 一見して、この図は『働くみんなのモティベーション論』で提示された、「緊張系」、「希望系」、「持論系」が図示されたものと考えることができよう。「緊張系」⇒「緊張力」、「希望系」⇒「目的力」であり、その真ん中に位置する「言葉力」で言葉にすると「持論系」になるというのだろう。そして、その持論を支えるのは「基礎力」であり、さらに「持論」をさらに発展させるためには外からの「関係力」が重要だという展開なのであろう。
 もう一つの図は図3「やる気!チャート」というものである(p.56)。横軸に年齢をおき、縦軸に「やる気度」をおいたグラフであるが、そこに人の(仮に自分の)「やる気」の時系列を書き表すというエクセサイズ用のチャートである。一例の図4(Aさん)では14歳から34歳まで、図6(Bさん)では2歳程度から35歳まで、さらにプライベートの線と仕事の太線という日本の線が描かれている。図8では著者の「やる気!チャート」が示され、時々最高「やる気」度の5を超えるという掟破りが行われている(細かいことではあるが、自分で決めたルールを破ってはいけないと私は思う)。
 ワークシートは図2の「やる気!シート」であり、400字の縦書き原稿用紙の右枠外に以下のような4つの疑問が書かれている。

  • どのようなときに、自分はがんばることができるのか?
  • どのようなときに、自分は落ち込んでしまうのだろうか?
  • 自分の強みは、なんだろうか?
  • やりたいことは、なんだろうか?

ワークシートの左枠外上段には次のような疑問が書かれている。

  • なにをしている自分に、意義を感じて、社会の役に立っていると実感できるのだろうか?

左枠外下段には「やる気!のひとこと」という囲みが用意されている。以上のように、「モティベーション」・「やる気」・「がんばる」という言葉の親縁性が想定されており、自己発見分析からバランスがとれた自分なりの持論(practical theory-in-use)を読者が構築するように促している。
 経営学の組織行動論の両輪は、「リーダーシップ論」と「モティベーション論」であるようである。つまり、階層性が存在する限り、誰がどのように仕事を引っ張るか、下からどのようにやる気をだして仕事をするかということが組織行動の内実だということなのかもしれない。
 これまで1年春学期に25人程度の単位で行ってきた「家族の中の自分を書く」、「自分が知りたい他人の二十歳のことをリポートする」というエクセサイズは、もっとも身近な「関係力」の確認、及び、他人の広義の「やる気!チャート」を文章化するというエクセサイズに近いと考えることも可能だろう。ということは、1年春学期の仕事をリバイズするという目的からすると、あまり中身を変える必要はないということか。「やる気!シート」をやってもいいのだろうが、若干、anticipationを引き起こしてからでないと逆効果になるかもしれない。その意味では、第二回もしくは第三回目のエクセサイズかな。

 なお、就職活動の最初に行う「自己発見分析」の手段として「やる気!チャート」は使えるツールだと思う。『学生時代に頑張ったこと』を書くのだろうから、より細かく線を引っ張ったらよいと思う。

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