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Stagflation Illusion?

 政策決定会合については、いつものように8対1、水野委員の反対でした。総裁会見を読むと、経済・物価情勢の展望については賛成されているとのことで、ある種、分析ではなく御自身のconviction(執念?)で利上げを提案されていることがわかります。ある意味では、これが金利0.5%がずっと続かないという市場の期待を醸し出すことになっておりますので、そういう意味では結果としては悪くないのかもしれません。 

 さて、経済・物価情勢の展望については、4月にはあったCPIの2007年上昇率予想のマイナス0.1%がなくなりました。おそらく0%に変更したものと推察します。しかし、中央値としては0.1%から0%に下がりました。つまり、日銀の「究極のエキスパート」の間では、期待の収束がおきたと言えると思います。この点で興味深いのは図表19に示された「物価の先行きに対する見方」だと思います。エコノミストは0.2%、一般の消費者は4%以上4.5%以下、企業側は「対個人サービス」を除いてほぼ0%(と読んでいいのかな?)。

 これと景気への感覚をあわせると、一般消費者には「感覚(錯覚?)としてのstagflation」が起きている可能性があります。日銀の「生活意識に関するアンケート調査」でも景況感は悪く、今後も悪くなるという結果になっています。比べて、日銀短観(での企業の見方)は、ややプラスだが落ち気味、(フォーキャスターによる)エコノミストはだいたい現状維持(GDP成長率約2%)と読んでいると思います。私が好きな景気ウォッチャー調査では、景気はすでにややマイナスで落ち気味と示されていると思います。すると、専門家と企業経営者ではない、一般消費者=一般の働き手は、物価は上がり景気はやや悪くこれからも悪くなるという「心理的な(もしくは錯覚としての)スタグフレーション」になっていると考えられます。

 「心理的な(もしくは錯覚としての)スタグフレーション」自体に経済効果があるかというのは私への検討課題です。単純な二期間のintertemporal modelで何が言えるかを見る必要がありますが。実質金利の定義にしたがえばインフレ期待の上昇により低下。しかし、貸出需要が増えるかというと将来所得がマイナスなので打ち消されてしまう。おそらく、これが土地の価格を低金利に関わらず、それほど上げていないのではないかと思います。

 あとはself-fulfilling prophecyよろしく、景気後退に落ちる可能性はないのかしらと思います。参考文献は、(40以上で経済を勉強していた方なら誰でも思いつくでしょうが)これでしょう。

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