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城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか?年功序列が奪う日本の未来』

311sdr3rc7l_aa240_ 学生が読んで『自分が就職できるのか暗くなった』と言ったので、初めて読もうと思った本。短時間、怨嗟の書、景気との関係の三点について短くコメントしよう。
 第一に、30分で速読できてしまった。特徴的なエピソードの連なりという書き方なので非常にわかりやすいが、「システム批判」を取り扱うこのテーマは、その性格上データできっちりおさえないといけない話(例として玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在』2001年)である。しかし、データを使うと短時間では読めない。本書のように際立ったエピソードの連なりで書くのはかなり際どい執筆方法である。私は薦められない。
 第二に、本書は遅れてきた怨嗟の書である。これほどどす黒い色調の本はあまりない。ある意味で、本書に書かれた智恵には既視感しか覚えない。いわゆる「若者」へのアピールとしての「反抗しろ!」というメッセージは政治的にformulateされなければならない。システムへの怨嗟の書としてはカレル・ヴァン・ウォルフレンが書いた10年前の一連の書を読めばよい。経済産業省が推進している社会人基礎力が「システム」の人材への介入であるという意見は「システム批判」として面白かったが、本当に「年功序列システム」を支える従順な人材が社会人基礎力なのかという議論はより個別具体的かつ精密にする必要がある。私の意見は留保である。いつでも起こっている教育体系と労働市場のinterfaceの齟齬を示す一つの例である可能性は高い。
 第三に、本書が2006年9月という景気回復の時期に書かれた本である事実は、非常に保守的な風潮とマッチする。まぁ景気も良くなってきたので、こんな本でも読んでみようかというのが本書の大半の読者であろう。そういう保守的な読者に混ざって、学生が本書を読んで距離を取れないのが、、、恐ろしい。

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