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日経社説

 下線部、デフレの悪循環に陥る恐れは少ないと言っているが、理由はなんだろうか。それから、確率は小さくてもそうなったら甚大な被害が出るので措置するというのが二本目の柱じゃないのかしら。

金利正常化、今後も経済実態見据えて(社説)2007/02/22, 日本経済新聞 朝刊, 2ページ

 日本銀行は二十一日、昨年七月のゼロ金利解除以来七カ月ぶりに追加利上げに踏み切った。政策金利は〇・二五%上がり年〇・五%になる。先週発表の昨年十―十二月期の実質成長率が高い伸びになるなど緩やかな景気拡大が続いており、極めて低い金利水準の調整は妥当な判断だ。ただ、景気拡大の企業部門から家計部門への波及の遅れなど経済の先行きには気になる点もあり、今後の政策運営には景気・物価の丹念な点検が欠かせない。金融政策をめぐる市場との対話の技術も磨くべきだ。
独立性尊重へ前進
 前回一月の政策決定会合では九人の政策委員のうち三人が利上げを提案したが否決された。この政策会合前に政府・与党幹部が金融政策について相次いで発言し、日銀の独立性が尊重されていないのではないかという懸念が金融市場に広がった。その反省もあってか今回は、政府・与党側からは日銀の政策決定について公然と圧力をかけるような発言は出なかった。政府・与党のこの姿勢は一歩前進である。政府と日銀の意思疎通は重要だが、両者が公然と批判しあう関係は建設的ではない。
 福井俊彦日銀総裁は二十一日の記者会見で、今回の利上げの判断の一つの根拠として「生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持され、緩やかな景気拡大が続く可能性が高い」ことをあげた。昨年十―十二月期の実質国内総生産(GDP)は前期比、年率四・八%の高い伸びになった。七―九月期に落ち込んだ反動という特殊要因はあるが、昨年後半、七―十二月期をならしてみれば年率一・七%の緩やかな成長が続いていたことが裏付けられた。さらに心配されていた米景気の失速も回避される見通しが強まってきた。円安などの追い風もあって日本企業の収益も好調を維持しそうだ。
 福井総裁は利上げのもう一つの根拠として「低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着すると、行き過ぎた金融・経済活動を通じ資金の流れや資源配分がゆがむ可能性」を指摘した。日本の低金利継続の観測から、円を借りて金利の高い他国通貨に投資する円借り取引(円キャリー取引)やそれに伴う円安進行もその一例だろう。
 現在の景気拡大期間は「いざなぎ景気」を超えて戦後最長になったもようだが、拡大期間はともかくその水準はいざなぎ景気に及ばない。好調な企業部門に比べ、所得の伸びが鈍い家計部門は景気拡大を実感しにくい状況が続いている。
 日本経済は継続的に物価が下がる状況からは脱したが、物価上昇率は極めて低い。日銀自身が認めているように、最近の原油価格の反落で、目先の消費者物価(生鮮食品を除く)前年比上昇率は一時的にマイナスに振れる可能性もある。九人の政策委員のうちただ一人今回の利上げに反対票を投じた岩田一政副総裁は、その理由として「物価の先行き見通しの不確実性」をあげた。
 消費者物価が一時的に下落してもかつてのようなデフレの悪循環に戻る恐れは小さい。一方で足元のインフレの危険も小さいので、今後の金利水準の調整はあわてずゆっくり進めることが肝心だ。
 金融政策の効果は一年から一年半先に出るといわれており、先行きのリスクにも十分に目配りして運営する必要がある。そのために適時適切に政策を発動する機動性が欠かせない。同時に日銀が政策の考え方をわかりやすく市場や国民に説明する透明性も重要だ。この機動性と透明性をどう両立させるかが、今後の金融政策の大きな課題である。
成長強化は構造改革で
 日銀は政府からの独立性を認められているが、中央銀行が中長期的に独立性を保つには、その政策への信頼の裏付けが必要だ。米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が独立性を尊重される背景には、長い間の政策の実績の積み重ねがある。バブルの発生と崩壊、デフレへの対応など過去の日銀の金融政策には批判も多い。日銀は今後の政策運営の実績を通じて、信頼を増す努力をすべきである。
 政府・与党内には、財政再建を円滑に進め成長率を高めるために、日銀に金利水準をなるべく長期間にわたって低く抑えてほしいという声もある。だが、財政再建や成長力強化には、金融政策だけに偏らないバランスのとれたマクロ政策運営が必要だ。
 経済実態を無視して、金融政策だけで長期間にわたって長期金利を低く抑えることは難しいし、弊害も大きい。国債金利の上昇リスクを心配するならば、歳出削減を中心に財政健全化を進め国債残高を減らしていくのが王道だ。さらに、規制緩和など構造改革を通じて、製造業・大企業に比べ遅れているサービス業・中小企業の生産性を高め潜在成長率を上げていく努力も重要だ。

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