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寺島実郎『「松坂60億円」とワーキングプア』

 日経ビジネス2007年2月5日、寺島実郎『「松坂60億円」とワーキングプア』。「松坂60億円」とワーキングプアとは、底流において「グローバル化経済における分配の公正化」という問題に繋がっているという論調。
 では、NHKなどテレビ等のメディアで大リーグの中継をやめたらいいのか。さすれば、日本人大リーガーにはプレミアム付きの高額年俸にならない。しかし、プレミアム無しでも年俸は高いだろう。「松坂60億円」の理由は、適度なプレーを見たいのではなく、どうせスポーツを見るのなら人々は超一流のプレーを見たいという「スーパースター現象」(マイケル・ジョーダン現象)があるからだ。それは、あまり「グローバル化」とは関係ない。松坂は米国で稼ぐから、日本の所得分配には入らず、日本の所得分配の公正化には実は貢献する。
 次、ワーキングプアとグローバル化の繋がりは、国際貿易論における貿易自由化によるストルパー=サミュエルソン効果として知られる効果を示唆しているようである。理論的な問題としては、技術進歩の話とどちらが強いか決着がついていないはず。これは実証命題である。それから年収200万円以下の人々が本当にプアな生活をされているのかを調べる必要もある。
 しかし、結局、筆者が言いたかったことは連合の存在意義なので、これは大企業の正規雇用者の組合+公務員の組合という指摘は正しいかも。ただ、それを言うのに、わざわざグローバル化の話を持ち出すまでもない。松坂もいい迷惑だろう。

 なお、データの出所は書かれていないのでmemo to self、総務省、労働力調査詳細結果、平成18年7~9月平均の第18表「仕事からの収入(年間),年齢階級・世帯の種類・従業上の地位別就業者数」である。年収200万円以下の非正規雇用者である1284万人のうち、男性が297万人、女性が988万人である。つまり、連合は女性をターゲットしていないと言えば、より的確か?さて、この女性988万人のうち、669万人がパートである。つまり、太宗において連合はパートの女性のことも考えよと寺島氏は言っているのである。このパートの女性の多くは世帯主ではない、つまり他に働き手がいる世帯である。

 さて、文章の流れからミスリーディングなのは、以下の部分である。『1707万人の非正規雇用者のうち、年収200万人以下の人は先述の1284万人ということで、非正規雇用者の実に75%に達する。世帯の年収が200万円以下であれば、失業保険で生活する失業者、生活保護世帯に準ずる生活レベルを余儀なくされているというイメージである。』第一文と第二文の流れからすると、第二文で言う年収200万円以下の世帯が1284万人いそうな気がする。しかし、これは上記のデータからあてはまらない。的外れなイメージを提示している迷惑なコラムであると思う。

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