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アカロフのAEA at ChicagoでのPresidential Address

 G.アカロフのAEA at Chicago 2007でのPresidential Addressはこれ。好き嫌いに関わらず、a must-read artcicle。マクロ経済学における「規範(norm)」の役割を強調すると共に、フリードマンが築き上げたpositive economicsの「偏り=parsimonious model with statistical testを尊重するということ」を指摘している。反論として、ワトソン=クリックのDNAの発見を引用しているところが面白い。すなわち、より自然科学的な研究方法を支持し、それと社会学の参与観察が似ているとしているところが興味深い。もちろん、positive economicsを批判するだけではなく、中庸的な方法論を主張している。

"A macroeconomics with norms in decision makers’ objective functions combines the best features of the two approaches. It allows for observations regarding how people think they should behave. It also takes due account of the purposefulness of human decisions." (p.60)

 なお、このバージョンは11月15日に書かれている。フリードマンは11月16日に死去し、翌17日に報道されているので、最終的にAERに発表されるものはこれと若干異なるかもしれない。AEAがシカゴで行われるというのもやや因縁深い。しばしば回顧されるように、2006年はガルブレスとフリードマンが亡くなった年であった。

 マクロ経済学が集計量を扱う学問分野である限り、集計された集団の特徴的志向(=norm)が存在するとすれば、それが統計的に重要である限り(?)、相応に取り扱うのは当然だろう。なお、「規範」の内生性については、非常に長い期間をとって変化するので、財政金融政策の効果を論じる限りには問題にする必要ないとの判断。アカロフが、2%程度のインフレーションを目標とすることを提言していることは知られているが、その議論もごく簡単に紹介されている。

 アカロフのような議論は、現在主流の中級マクロ経済学の教科書にも十分はまりうるだろう。(超)長期の経済成長(stylized facts⇒理論)で始めて、異時点間のstylized factsを新古典派で考察し、さらにfrictionsとnormでも考察し、最後に短期に行き、諸モデルのインプリケーションを考察するという形式になろうか。おそらく、マクロ経済学自体よりも、マクロ経済学の教授方法論に影響を与えるかが鍵。そういう意味では、マンキューがどのように教科書を書き直していく(もしくは、書き直さない)かが若干見もの。

 (補足)日本の経済学ブログではこういうことを議論しているらしい。Internetなのだから個体発生は系統発生にdog yearで追いつくのでしょう。

 (後記)この件に関するNYTの記事を読むためには、「NYT070106AEA.pdf」をダウンロード

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