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長野県金融経済懇談会における西村清彦審議委員挨拶要旨

 12月6日の『長野県金融経済懇談会における西村清彦審議委員挨拶要旨』を速読。興味深いのは次の二点。まず、企業の投資行動について、

 企業の設備投資行動(そして家計の耐久財購買行動)を決めているのはなにかについて、再考してみます。合理的な企業ならば、まず計画している設備が完成後に生み出す将来実質収益の(リスクを勘案した)割引現在価値を考慮します。これが実質投資収益です。他方、その設備に投資する時に負担しなければならない実質投資コストも考えます。そして、この両者の比較考量で設備投資の是非を決めるはずです(同じように合理的な家計ならば、購買を考えている耐久消費財からの将来効用を貨幣換算した実質投資収益とそれを購買するための実質投資コストの比較考量で、耐久消費財購入の是非が決められるはずです)。そして実質投資収益と実質投資コストが適度のバランスをとっていることが、中長期にわたる価格の安定と均衡のとれた成長をもたらすことになります。そして、期待物価上昇率は名目利子率とともに実質投資コストの構成要因として重要ですが、それと同様に――おそらくそれ以上に――実質投資収益率が現在どのような状況にあるかが、金融政策を考える際には重要となります。

というスタンダードな認識を示し、その動向については、続けて、

 日本経済は長い停滞の後、過去の負の遺産を乗り越えて、世界経済の成長に歩調を合わせ、技術進歩の果実をようやく実現できるようになってきています。このように日本経済が「病み上がり」の状況から次第に脱するにつれて、実質投資収益率も次第に非常に低い状態から回復しつつあると考えるのが自然と思われます。実質投資収益率は、技術的な要因や制度に左右され、ゆっくりと変化するのが通常です。これを前提とすれば、それと適度にバランスをとった望ましい実質投資コストの変化も、ゆっくりとなされる余裕があるわけです。更に、期待物価上昇率が低位で安定している状況ならば、対応する名目利子率の調整も「慎重にゆっくりと」行うことになり、またこれを可能とする余裕もあることになります。ここで「慎重にゆっくりと」というのは、なにか時間のスケールを念頭に置いているものではありません。様々な経済指標を虚心坦懐に精査し将来を見据えながら、時期々々にふさわしい調整を行っていく、ということです。

という判断を示している。自然利子率(=実質投資収益率)>実質利子率(名目利子率-期待物価上昇率)⇒(投資や耐久消費の上昇⇒総需要拡大⇒)物価上昇というヴィクセル型の認識にそっている可能性がある。雇用や失業率やフィリップス曲線の話が出ていないところも、その可能性を伺わせる、もしくは、そう解釈されても仕方がないだろう。実質投資収益率と期待物価上昇率について、緩慢な変化を主張しているため、巷間伝われているような「金利上昇をOK」というのは問題があるだろう。

 次に、家計消費だが、一点。

 GDP統計で7-9月期の民間最終消費支出、特に持ち家の帰属家賃を除く個人消費の伸びが大きくマイナスに転じたことが、大きな話題となりました。しかし、景気の肌感覚に感応的であると言われている内閣府の景気ウォッチャー調査を見ると、DIは50を超えて景気が回復あるいは緩やかに拡大している状況です。このような状況にもかかわらず、GDP統計については、個人消費が単に前期比若干伸び悩みという程度を超え大きく落ち込んだわけですので、その原因を精査する必要があります。

Graph_03 この後、個人消費の元になる家計調査の検討になるわけだが、ここでは、その前提である景気ウォッチャー調査に注目しよう。12月8日発表の最新報告では、「11月の現状判断DIは、前月比1.9ポイント低下の48.9となった」からである。 左図のように、極めて不透明な状態にある。一年前のように景気が伸びだすかもしれないし、落ちてしまうかもしれない。まGraph_02た、構成比を見ると、より明瞭に景気の方向の低下傾向がうかがえる。

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 景気動向指数をみても、景気の状況は良いとは言えなくなってきているし、株価を見ても、いまは踊り場にいるというのが現状である。12月18・19日の金利上げは無い、はずと予想する。

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