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池尾和人『開発主義の暴走と保身 金融システムと平成経済』

475714098301_aa240_sclzzzzzzz_v51961197_ 池尾和人『開発主義の暴走と保身 金融システムと平成経済』、NTT出版。

 経済学者の書く政治経済もの、テーマは日本の金融システム。20年ほど前に、なぜ経済学者の書くpolitical economyものはpiecemealなのかと思っていたことがある。大きなお話のなかで、この部分はこのモデル、あの部分は別のモデルが妥当するという話の展開は、政治学者の書く一冊で首尾一貫したpolitical economyと比べて、なぜこうなるのかと思っていた。今では、経済学者の問題の切り出しサイズが小さいので、この部分はこのモデル、あの部分はあのモデルで考えるのだと了解している。

 以下三点memo to self。第一、1997年11月以降のBoJの流動性供給についての、松岡幹裕氏の見解は興味深い(pp.168-169)。すなわち、準備の総額は供給したが、その多くは「不健全」銀行への融資に伴うものでいわば死に金であったので、健全銀行にとっては流動性不足になったとの指摘。第二、筆者の手計算による累積純貯蓄額と資産額の比較による評価益(損)の計算は興味深い(p.201-)。第三、最後に展望している「市場の質」の議論は今後が期待される。参考文献はこれだそうだ。

 あとがきに、ラジャンとジンガレスのSaving Capitalism from Capitalistsへの賛同が書いてあり、実際にp.47の表1-1の出所はそうなので、この系統の著作に関心をもつ向きは題名の恐さに惑わされたとしても、本書を読んでみると良いと思う。主題と副題を変更したほうが本の落ち着いた音調と整合的ではなかったかと思う。

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