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企業の経済学(or BBA?)=財務分析+ファイナンス+組織の経済学

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 『企業の経済学』というと、応用ミクロ経済学になり、中級ミクロ(要は微分)をやってから挑戦するという王道(小田切宏之『企業の経済学』有斐閣)があるのだが、別の行き方をここ数年にわたって模索している。

 最終的に実証、狭義の統計分析ということではなく、実際のデータとまみれるという広義の実証が見えるのが好みなので、まずは会計です。The best book in townは、第六版を数える伊藤邦雄『ゼミナール現代会計入門』(日本経済新聞社)だと信じているが、これを補強する本としては、山根節『経営の大局をつかむ会計 健全な”ドンブリ勘定”のすすめ』(光文社新書)と、永野則雄『経営がわかる会計入門』(ちくま新書)がある。

 本当はファイナンスをがっちりやりたいところだが、最低でも井手正介+高橋文郎『ビジネスゼミナール経営財務入門』(日本経済新聞社)などで、割引現在価値はやっておくべきだろう。ここで株価の理論価格(配当割引モデル)をやっておかないと、俗説会計風の「自己資本は払わなくてもいいので、自己資本比率は高めたほうがよい」的な一面的理解に陥ってしまう。でも、モディリアーニ=ミラー定理まで行くかどうかは状況判断による。でも、PERやPBRへの証券アナリスト的な理解までは達しておきたい。そうしないと、企業の解散価値と存続価値が理解できないことになってしまう。<ここまでで一年間の半分>

 さて、企業の数字が見えるようになり、パフォーマンス比較ができるようになったら、その理由・根源を探らないと「企業の経済学」にはならない。ということで、伊藤元重『ビジネス・エコノミクス』(日本経済新聞社)がもっとも直観的な入門書である。この分野の教科書はいまなおミルグロム=ロバーツ『組織の経済学』(NTT出版)の天下であるが、本の形の大きな参考文献目録とも言えるジョン・ロバーツ『現代企業の組織デザイン』(NTT出版)も捨て難い。しかし、ミルグロム=ロバーツを半年で読むのはなかなかの根気を必要とするし、ロバーツは初学者には消化不良の可能性がある。ここが思案のしどころである。案外、ジェームズ・ミラー『仕事に使えるゲーム理論』(阪急コミュニケーションズ)を使って、具体的に「交渉戦略、価格戦略、生産性向上戦略、従業員のサボり防止戦略、クーポン券戦略」などをゲーム理論の学習という形をまとって行うのが良いのかもしれない。<ここで一年間の完了>

 基礎となるミクロ経済学だが、まずは初級でマンキュー『マンキュー経済学ミクロ編』(東洋経済新報社)をがっちりとやっててくれば大丈夫。中級初歩で三土修平『はじめてのミクロ経済学』(日本評論社)はお薦め。ぜひ欲しいのは、Kreps『Microeconomics for Managers』(Norton)のような日本語本(翻訳されました)。Optimizationさせたい。ミクロ経済学をやった後の関連分野としては産業組織論(Industrial Organization)があり、長岡貞男=平岡由紀子『産業組織の経済学―基礎と応用』(日本評論社)が入門として良書だと思う。こちらのほうから経営戦略に挑むと浅羽茂『経営戦略の経済学』になるのではないかというのが私の直感的整理。そこで、ミクロ経済学⇒産業組織論と王道に進めば浅羽は納得する選択だろうが、我々は別方向から進んでいるので、山は同じでも登り方が違うという雰囲気。

 ここまで書いたところで丸山雅祥『経営の経済学』(有斐閣)が出版されているのに気がついた。不明のいたすところだ。前田章『はじめて学ぶ経営経済学』(慶應義塾大学出版会)にも気がついたので、この辺りのレビューを次回は行うことにする(宿題)。このほか、大きくEssential BBA (Bachelor of Business Administration)と言い放ってしまって、三角形の図を書いて、頂上に「財務分析」、左に「ファイナンス」、右に「組織(or 企業)の経済学」と書いてしまったほうがわかりやすいかもしれない。そうするかの決断も宿題。

464116240901_pe00_ou09_scmzzzzzzz_  後記:丸山は優れた良書であることが一読後わかった。神戸大学の社会人MBA用に作られたテキストを基にしているだけあって、必要とするミクロの素養がほぼ中級初歩(三土修平『はじめてのミクロ経済学』日本評論社)となっており、一部たしかに中級完成(Intermediate Varian)を必要とする部分があるが、そこは十分補える。市場、競争と戦略、そして組織についてバランスよく書かれている。前田は、Intermediate Varianを自習するときにこういうやりかたもあるかという本。教科書の形態には工夫を感じるが、特殊なTPOを想定された本。

 追加後記(7月26日):岩村『企業金融講義』について、ここに速読感想を書いた。トービンの分離定理からCAPMを教える間合いや、オプションを教えてからの発展として参考になる。

 【再度の後記(2008年2月17日)】2006年秋学期は丸山、2007年度秋学期はスザンヌ・バーガーの『MITチームの調査研究によるグローバル企業の成功戦略』を使いました。モジュール化、アウトソーシング、オフショアリング、サプライ・チェーンなどの重要な概念を学びました。経済学の知識が必要な個所で誤訳があったのが残念でした。

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