柄谷行人『世界共和国へ』
柄谷行人『世界共和国へ』(岩波新書)。マルクス、カント、アダム=スミス、スピノザ、ホッブス、ウェーバー、プルードン、ウォーラーステイン、エンゲルス、マルセル=モース、ハンナ=アーレント、ヘーゲルなどという思想家の半分以上の著作に親しんでいる「人文系」の人々にお薦めの<世界の政治経済>の解説書。
近代経済学および国際政治学をまともに勉強していけば、この程度の理解は自ずと手に入ることが予想される。「人文系」の人は定義上そういう勉強はしないので、手っ取り早くこの本を読めばよい。
読んで勉強になったことは、p.17のアダム=スミスの道徳感情論とフランス革命の「友愛」についての解釈だった。著者の守備範囲としてより有用なのは、本書を下部構造とした上部構造、すなわち文芸批評であろう。世界共和国に対応する世界文学とは何かを教えてもらいたい。
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