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高度経済成長は復活できる

4166603892増田 悦佐『高度経済成長は復活できる』文春新書。

 工業での規模の経済を仮定した農工間資源配分を理論枠組みを背景として、田中角栄を高度経済成長を終わらせた真犯人(そして、実質的には団塊の世代をその実行者)として名指しし、ミクロの細かい事実を文学や映画などの大衆芸術を総動員して論証を試みた本。非常にentertainingな本である。

 生産者米価だけでなく、(1971年のニクソン・ショックを背景にした)相対価格の変化の役割についてもコメントされるべきだったと思うが、骨太のモデルにミクロ・メソの事実を彩る書き方は格好いい。

 しかし、この方が読んでいる本を私は読んでいない。自分の非才を感じる、時間というより目のつけどころなのだ、ヤレヤレ。

(後記)後で考える手がかりとして自分へのメモ。まず、公共支出再分配の古典として、

George Stigler. (1970) "Director's Law of Public Income Redistribution." J. of Law and Economics, 13, 1, 1-10 (Reprinted in Stigler, ed. Chicago Studies in Political Economy)

次に、一国二部門資源移動のモデルの復習には、労働市場を対象にすると、ルイス・モデルなので、

渡辺利夫『開発経済学』日本評論社

は丁寧である。二国一財国際資本移動モデルも同じ理論枠組みになり、こちらから復習してもよい。MacDougall論文で書誌情報は岩田一政『国際経済学』新世社の参考文献リストに載っている。そして、二部門資源移動で政治経済学を考えた古典は、

Michael Lipton. (1977) Why Poor People Stay Poor: Urban Bias in World Development. Temple Smith.

であり、日本語文献だとResource transferを丹念に考えた

寺西重郎『工業化と金融システム』東洋経済新報社

寺西重郎『経済開発と途上国債務』東京大学出版会

を復習する必要がある。さて、二部門を考えるときに、経済をeconomy-wide(マクロの第一義は集計量としてのマクロ、第二義がeconomy-wide)にとらえて、三部門(貿易財(=輸出財+輸入財)+非貿易財)のうちの一つを捨象していると考えることが肝要。貿易財vs.非貿易財にこだわっているのがMax Cordenであり、

W. Max Corden, (1994) Economic Policy, Exchange Rates and the International System, Oxford.

が彼が書いたテキストだが、よりわかりやすいのは、Sachs and Larrainの21章。戻って、輸出財、輸入財、非貿易財の出現については、DFSがsuperb。

Dornbusch, Fischer, and Samuelson, (1977) "Comparative Advantage, Trade, and Payments in a Ricardian Model with a Continuum of Goods," AER, 47.

教科書としては、Bhagwati, Panagariya, and Srinivasanの第4章。

Economic developmentまで考えると、KWCのdualistic developmentと、MatsuyamaのJET論文(Bardhan and UdryのReadingsに所収)を読む必要。

このほかアト・ランダムに思いついたキーワードとして、生産性格差を背景にした貿易財の購買力平価を考えた為替増価、貿易障壁の効果を含めた非貿易財の定義、この非貿易財産業の生産性向上、Petit-Urban Biasとしての地方中枢都市の保護、price scissors。

乱筆乱文で申し訳ない、将来の自分へ。

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