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ロナルド・ドーアの偉さ

 色々と読み散らかしているが、ロナルド・ドーア『働くということ:グローバル化と労働の新しい意味』(中公新書)も読んでいる。なんというか、社会学というのは、センスで商売する職人芸だという気がしてしまう。良い本であるが、「働くことって私にはどんな意味があるのだろう?」などと自問自答している人が解答を求める本では全く無い、お門違いである。働くことには世の中でどういう意味がもたされているのか、という極めて評論家的な関心がある人々にとっては名著である。そういうことは他人のお世話だという人には読む必要は全く無い。

 10年ぐらい前に一橋大学のIndustrial Relationsの先生という人に会って、Industrial Relationsってなに?と思ったものだが、その大家がロナルド・ドーアさんである。さて、本書にはこういう文章が載っている。

 日本で柔軟性と株主価値を熱心に提唱する人々自身は、実際のところ、終身雇用の組織の人で、しかも仕事中毒になっている人が多い。しかし、本当に自由なライフスタイルで暮らす人は少数派であるとしても、声高に発言する少数派であり、ライフスタイル・モデルを提示する力があります。常識の形成に対するこの人たちの影響力は、小さくありません。(PP.106-107)

 ふと、自分が仕事中毒かと思ったので、この文章は俺のことか、やられたと思いましたね。但し、上記の文章には一つ注をつけなくてはいけませんね。「・・・の組織の人ですが、危機感を持っており、しかも仕事中毒・・・」ってことじゃないでしょうか。でも、よくもまぁここまで読みこめるものですね。この洞察力は社会学の鍛錬からくるのじゃなくて、それ以前の訓練(たとえば、中学とか高校とか)から来るんじゃないんですかね。そういう疑問をもっております。とにもかくにも、まぁ、こいつは春からやられたぁという文章でございました。自戒、自戒。

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Comments

R.ドーア、『学歴社会 新しい文明病』(原題、学歴病 diploma diseaseの方がずっとインパクトあります)に昔強い印象を受けましたが、そういう面でも大家だったとは不勉強にも知りませんでした。そういえば、読んでないけれど、本棚にはEducation in Tokugwa Japanもある。かくありたいものです。

Posted by: YN | 2005.05.03 at 11:27 AM

 コメントありがとうございます。昔、珍道中をしていたころに、柳○御大が、彼のFlexible Rigidityという本は名著だと仰っていました。Education in Tokugawa Japan、探してみます。そうそう、一年ほど前に『庭訓往来』(中世~江戸時代寺小屋までの教科書)に挑戦しましたが挫折しております。とにもかくにも、彼のようなBritish Intellectualは貴重ですね。

Posted by: ひさまつ | 2005.05.04 at 06:47 PM

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